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死霊のシスターのhorahukiのレビュー・感想・評価

死霊のシスター(2018年製作の映画)
2.8
引っ越ししたいのに旧居から出られない!!
引越日当日に「さあ新居へ行こか」と思ってたら、ドアが開かなくなって出れない!しかもいきなり出てきたシスターのお化けにいたぶられちゃうオカルトホラー。

一瞬マジで『死霊館のシスター』かと思ってしまうほどの秀逸なパクリ邦題&ジャケ。『悪〝夢〟のいけにえ』も相当巧妙な罠でしたが、あっちは映画時期がズレてたのとジャケが明らか違うので手に取ればすぐわかる分マシでした。でも本作は時期もジャケも完璧。歴代屈指のパクリトラップだと思います(笑)しかも内容的にも間違ってはないから何か言われても逃げ道が用意されてるという手の混みよう…。

もちろん内容の方も案の定でして…。
冒頭から「私ポンコツ映画だよ!」ってわかりやすく観客に向けて自己紹介してくれてるようなダサダサ演出が素晴らしい。その見せ方はないだろとツッコミ入れちゃうドアの開閉。せめて開閉タイミングくらいは合わせた方が…(^_^;)

主人公には薬物依存の過去がある。現在は依存から立ち直り、優しい夫と可愛い子どもと3人で暮らしてるんだけど、子どもは前夫との間の子。前夫とは離婚前に色々あったらしく裁判所から接近禁止命令も出てるのにつきまとってきたり、電話がしょっちゅうかかってきたり。表面上は薬物とも前夫とも切れてるんだけど、心の中ではおそらくどこかに引っかかりを感じてる。

引越しというのはまさにそれらとの決別であり、新たな人生をスタートする象徴的行ない。主人公を家に引き止めるシスターは主人公の心の中に微かにだけど確かに存在する過去への執着。だから本作は全てを過去(旧居)に残し未来(新居)へと進んでいこうとする主人公の心の中でのもがき。

シスターは罪を犯したため天国に行けずに彷徨っている死霊。そのシスターは主人公を引き止める存在でありながら主人公の過去の象徴でもあるため、シスターを退けることが主人公の過去の抹殺へと暗喩的に繋がるのでシスターは主人公とは天国と地獄が逆になる。だから観客的にはゴールが見えて何をしようとしてるのかがわかりやすい。

シスターのビジュアルもなかなか。最後まで顔見せない方が良かったように思うけどね。

描こうとしてることは良いと思うのですが…何でこうなるのか。夢か現実かがグチャグチャになる中盤以降の展開は結構好きなんだけど、結局同じことの繰り返しにしかなってないから興味が削がれちゃう。そもそもプロローグの酷さがずっと付いて回ってて、抜け切らないから最後まで全くハマりませんでした。衣装の変更ももっとやり方があったような…。

どうでも良いことだけど、見終わったら無性にピザが食べたくなった(笑)3セントを強引にまけさせる主人公は最悪だったけどね。
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