事態の究明のため救助された女性の記憶にアプローチするという大筋により、辿るべき道(明かされる真相)が定められてしまうものの、その時代の背景を浸透させたのはよかった。滅亡が差し迫った地球で尚、人類は1つになれない。
これを遭難者という括りの中で...、船を知り尽くしたクルーと何も知らないお客さん、特権階級の市民とゴキブリ扱いの非市民、男と女、黒人とアジア人と白人、...と様々な壁を描く事でその縮図としている。脱出艇で起こる事象も現在人類が直面している問題と関連付けられるのかもしれない。
記憶という主観的事実へのアプローチ、何かしらの症状を抑えるための薬物の常用もしくは依存、クルーとしてもしくは非市民として望まれない妊娠...
何かしらの衝動や感情を抑える我慢をする彼女の姿が描かれることで、この世界に蔓延る差別によって抑圧された者たちの感情の後押しとしているのもまたうまい。これにより最後のとある人物の行動に説得力をもたせている。
ただそれが根本的な解決に当たらないというのは解釈の余地及び問題提起なのだろう。
人類の行く末は・・・