りょう

ミレニアム2 火と戯れる女[完全版]のりょうのレビュー・感想・評価

3.6
 1作目の「ドラゴン・タトゥーの女」から監督が交代しましたが、微妙に作風が変化した印象です。前作は、ジャーナリストのミカエルが主軸となった物語に強烈なインパクトのリスベットが登場するという絶妙な設定でしたが、この作品ではその関係性がほぼ反転したような展開です。
 悪玉も組織的で、そこに警察の捜査なんかも本格的に描かれるので、2人の存在感が希薄になっています。物語が多層的なところは悪くありませんが、この作品に期待するところではありません。
 なによりもリスベットのパンクファッションがほとんど封印されてしまい、とある事情で野暮ったく変装しているシーンが少なくありません。しかも前作から1年を経過して、富豪でロングヘアにもなっているし…。少女のころの暗黒の過去を匂わせる以外は、彼女のキャラクターが魅力的でなくなっている印象です。
 後半に衝撃の事実が判明したり、サスペンス映画としての展開はそれなりですが、ちょっと中途半端なエンディングでした。おそらく3作目の「眠れる女と狂卓の騎士」で伏線が回収されるはずですが、2作目を単独で観るとモヤモヤです。
 さまざまな場面で虐げられる女性たちが印象的でした。ダイバーシティの先進国であるスウェーデンでも、2009年の女性の地位ってこんなものだったのでしょうか。
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