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ナチスの愛したフェルメールのSadAhCowのレビュー・感想・評価

4.0
2022 年 40 本目

この映画は YouTube で山田五郎さんの「オトナの教養講座」を見てから鑑賞した方がいいね。メーヘレンって誰やねんってところから知らないと内容理解じたいが結構きつい。

【メーヘレン事件】英雄か詐欺師か?ナチスを騙した天才贋作者!人は希望に騙される…【フェルメールの贋作】
https://youtu.be/eb9hVBYFGSc

ある贋作者の作ったフェルメールのパチもんが結果的にナチスに一杯食わすことに役立ったという、それこそ映画のような話である。これにより贋作者メーヘレンは「国家の英雄」として崇められることになったのだが、そもそもメーヘレンが贋作を作り始めたのは、ある批評家への個人的な恨みからだった。何にも作り出さないクセに権威ぶってアーティストの生命を平気で左右する批評家に復讐の炎を燃やすって展開は胸アツなのだが、いかんせん主人公のメーヘレンも一筋縄じゃいかない男で、酒タバコは言うに及ばず女もヤクもどんとこいで、凡俗の我が身はとにかく「うわあ…」しか言えない。

邦題とは裏腹にナチス関連の描写はほぼ出てこず、メーヘレンがなぜ贋作に至ったか? というドキュメントに近い感じがする。しかし結果的には「芸術って何やねん」という根本的な問いにつながっているのがすごいな。偉い人が認めたら、美術館に置いてあったら芸術なの? 技術でも個性でもなく? じゃあもう作品じゃなくて批評家がおればええやんけ? みたいな話で、現代アートの馬鹿げた「文脈信仰」を思い起こさずにはいられないのだった。あとヒロインがエロい。
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