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夜の来訪者のYuki2Invyのレビュー・感想・評価

夜の来訪者(2015年製作の映画)
3.8
元々は舞台劇(戯曲)⇒1945年発表のプリーストリーの作品だそーで。映像化としても、ガイ・ハミルトン監督作(1954年)を始めとしてテレビ映画も劇場版も幾度となく制作されているヤツみたいです。演劇としても、近年でもスティーヴン・ダルドリー演出版が大評判を取ったりと本国ではかなり有名・かつ重要な作品だと見做されてるってコトらしいのですね。要は(作中のグール警部の台詞の如く)道徳的な側面からの普遍的な社会・人間性批判を孕む作品…てなコトなのでして、その意味からも「時代を超えてゆく価値」をも大いに擁する作品…なのかも知れないすかね。本映像化は、私が少し調べた限りでもかなり原作に忠実につくられている様でありまして、その点などの諸々を踏まえても一見の価値は十ニ分だと言えるのではないでしょーか。シンプルに映画としての諸々のクオリティも、決して十人並というレベルではなかった様に思われてますし。

それこそ演劇としては『十二人の怒れる男』みたいなシンプルな密室会話劇の系統なのですが、道徳劇である以前に何よりサスペンスとしても相当に面白く観てゆける作品なのですよね(のっけから居心地はあんまし好くないですケド、そのコト自体がサスペンス…だとも思いますし)。しかし、一点だけ本映像化(とゆーか舞台じゃなくてコレを映像化するとなった場合の恐らく全て)については、この方法を採ってしまうと絶対に舞台版ほどは面白くならない…と思ったのが肝心の「彼女」の存在・描き方なのですよね。本バージョンでは、彼女は彼女としてとある同一の役者さんが他登場人物と絡むシーンを全て演っていって⇒で密室劇の合間にそのシーンが挿入されてゆく…のですが、そもそも彼女が実在の存在としては登場しない=「顔が見えない」コト自体が、舞台版における非常に重要な演出のポイント&終盤の複雑なドンデン返しにおけるトリック的な「キモ」になっていると思ったのです。重ねてですが多分コレ、舞台版の方が全然面白いヤツなんじゃねーかな、と⇒前述のスティーヴン・ダルドリー版のナショナル・シアターの公演も、配信とかってされないのかな…(もうトリック分かっちゃってるケド…)
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