Kuni

第三夫人と髪飾りのKuniのレビュー・感想・評価

第三夫人と髪飾り(2018年製作の映画)
3.8
美しく幻想的なジャケ写に惹かれて、私1人で鑑賞。

19世紀の一夫多妻制だった時代のベトナム映画です。

夫人というにはあまりにも幼い14歳のメイが嫁がなければいけない運命に、まず心が痛んだ。

白い肌に
男女とも色とりどりの衣装


透き通るような川のせせらぎと
青々とした山の頂き

朝・昼・晩と色を変え
グラデーションが織り成す
美しい空

鮮やかな緑の草原に
黄色い花

靄のかかるその景色は
夢のよう

色彩のコントラストに
目を奪われる


はじめはあどけなかったメイが
初夜を迎え、性に目覚めていく。


何も知らない目から
上目遣いで誘う目
男児を産むと決意した目
秘密を知って心に秘めた目
運命に抗えず哀しみをたたえた目

セリフが少ない中
目が雄弁に語る


絹の郷で蚕が妖しく蠢くと
不穏なことが起きる


禁断の愛がいくつか描かれ
官能的なシーンもあるけど、
芸術的で美しく、
いやらしさを感じさせない。
そこは女性監督らしいと思う。


もう1人嫁いで来た14歳の少女の、
残酷な運命にショックを受けた。


この時代のベトナムの女性は、
こんなにも過酷な運命なのか…
やるせない気持ちになる。


最後のメイと第二夫人の娘。
それぞれの行動も衝動的。


「夏至」「青いパパイヤの香り」と
同じように、ゆっくりと時間が流れるストーリー。


でも鑑賞後にやるせない気持ちになるので、心にゆとりがある時に観るのをおすすめします。
Kuni

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