みかん

ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密のみかんのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ネタバレしまっくていますので要注意!!
犯人が誰かも言っちゃっているので、本当に要注意です!

*********

ダニエル・クレイグ演じる名探偵ブノワ・ブランが謎解く、密室殺人ミステリー。
ミステリー系って映像で魅せるってなかなか難しい気がしますが、きちんと面白かった!
ダニエル・クレイグとクリス・エヴァンスが見たいっていう理由だけで、特に前情報を入れることなく劇場に足を運んだので、CMのあおりからアガサ・クリスティーの推理シリーズなのかなって思っていましたが、監督脚本の完全オリジナルなんですね。
結構序盤から、真犯人は別にいるんだろうなってわかる展開だったし、後述しますが犯人もわかりやすかった。
複雑なトリックや謎解きもありませんが、それでも面白かった!!
主役のダニエル・クレイグも魅力的でしたが、何よりもアナ・デ・アルマス演じるマルタ・カブレラというキャラクターが良かった。
真の主人公は彼女だったと思います!
探偵視点だけだと、一方的な推理の押しつけみたいなことになりがちだけど、犯人目線(実際は違いますが)からの緊迫感もあって、新しい楽しみかたが出来た作品でした。
彼女も自分が罪を犯したと思い込み、家族のために罪を隠そうと嘘を重ねていきますが、そんな自分に耐えきれず、自分の良心に従って最終的には罪を償おうとする。
そんな彼女の心情の揺れ動く中で、彼女のとる行動で話の展開が変わるっていうのが、どうする?どうなる!?ってわくわくしました。
彼女がハーラン以外を信じてなくて、自分の家族のためにも、ハーランの財産は自分のものだって言い切ったあたりの、何て言うか、したたかさというか。そこもまた人間くさくて、よかったです(犯罪はダメだけど、したたかに生きるって大事なこと)。
クリス・エヴァンスも良かったですが、良い意味でも悪い意味でも際立っていましたねー。
私は映画は好きですが映画通ではないので、他の俳優さん達の知名度がちょっとわからないんですが、本作の見どころのひとつはやっぱりクリス・エヴァンスだと思うのですよ。
だから、彼が犯人か、または何かしら重要な役回りというか、キーマンなんだろうなって思っていたら案の定だったので、意表を突かれるようなことはなかったです。
話の展開的にも、意味深に途中まで出てこないで容疑者じゃない風に演出していたり、犬が夜中に吠えたという証言があったり、おばあちゃんが彼の名前をつぶやいたり、マルタが信頼関係もない彼にだけなぜか真相を話しちゃったりで、彼が明らかに怪しいって要素ばっかりでしたし。
ラストも複雑なトリックとかがあるわけではなく、ブランがランサムが犯人ってわかるところも唐突だった気がするんですが。。。
動機も他の家族と同じお金がらみで意外性もなかったしなー。
ただ、彼がど直球にクズかったので(笑)、我らがキャプテン・アメリカのイメージからのギャップはめっちゃ楽しめました!
個人的には、彼の役どころは美味しいし嬉しかったけど、こういう作品にはよくあるパターンなのかもしれないけど、売れっ子俳優が何気ない役なわけないしっていう私の穿ちすぎた目線のせいもあって、謎が解けたって純粋に驚けなかったのがもったいなかったな、と。
(キャスト構成で犯人予想出来ちゃうって、ミステリーとして致命的な気もしますが。。。)
だからって、何も美味しいところのない役だったら、役者の無駄遣い!ってなるし、難しいなーって思いました。
クリス・エヴァンスはキャップで知って他の出演作品は見たことがなかったので、もっと色んな役どころを拝見したいなって思いました。新鮮!
ダニエル・クレイグもかっこよかった!!
こちらも難しい役どころ。とても良かったですが、名探偵役ってもう型がある程度決まっちゃってるから、新しさはあまり無かったかなと。
彼ならではのものが無いと、なかなか新しいキャラクターとして活かすって難しいなって思いました。
この方もボンド以外見たことないので、他の作品も見てみたい。

あと、ミステリーの中に現代アメリカの移民政策風刺も混ぜ込まれている。
移民のマルタと大物作家の家族達という富裕層との格差だったり、移民排斥感情だったり。
ランサムもラストに屋敷も全てスロンビー家のものだ!取り返す!と言っていたけど、その屋敷も元々パキスタン人から買ったものだろうと。
アメリカの成り立ちも移民の流れがあったのに、との皮肉。
しかもそれを皮肉られるのがキャプテン・アメリカだったクリス・エヴァンスってのがまた面白い(別作品の話だけど、これは絶対意図してると思う!)。
そういう現代社会の問題を物語に巧みに絡めていて、そういう視点で見てもひと味違った面白さがありました。

ハーランの心に寄り添ったマルタは、彼にとって誰よりも家族だった。
「家族」というような仕組みよりも、生まれも育ちも関係なく、人としての純粋な優しさや思いやりで繋がれるってことかな。
みかん

みかん