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Bodied(原題)のSY3KRのレビュー・感想・評価

Bodied(原題)(2017年製作の映画)
3.0
大学生のアダムは「ラップカルチャーにおけるNワードの使われ方」をテーマに卒論を書くことに決め、彼女のマヤを連れてストリートバトルの取材に出かける。しかし、そこでひょんなことからバトルをけしかけられたアダムは、自らもラッパーとしての才能を開花させていき…というあらすじ。一時期YouTubeで購入可能だったが、残念ながら現在日本で見る方法はない。

本作ではエミネムが制作総指揮を担当し、数々のMVを担当してきたジョセフ・カーンが監督を務めた。だけあって、全編を通じてラッパー同士のビーフが炸裂。楽曲のみならず、登場人物が普通にしゃべくりあっているセリフまでもがライムに聞こえ出す。この映画自体が120分の楽曲と言ってもいいほどで、これ以上ないオリジナリティの塊だ。

ラップに全く詳しくない人にとっても優しい作りになっており、主人公のアダムが「ラップ・カルチャーとは何ぞや」を分かりやすく説明してくれるから有り難い。例えば、彼らには彼らなりの礼儀があり、相手へのリスペクトを大事にしているらしい。場所や相手によって言葉をチョイスしないと勝てないなど、戦術の変化もユニークに描かれ、独特の世界なのに自然と興味がわく。

普段なじみのないアンダーグラウンドな世界に親近感を持たせた時点で、本作は大成功と言って良いだろう。ただし、その代わりに映画的な面白さは薄めで、アダムの人間的な成長も何だか中途半端に感じてしまう。特に後半、ラップが持つ「言葉の刃」の問題を指摘しつつも、その回答を放ったらかしにしたのは頂けない。

難しいかもしれないが、ぜひとも同じキャスティングで彼らがその後どうなったかを見せてほしい。

⚫︎トマトメーター
・批評家支持率:90%
・観客支持率 :85%
「刺々しいテーマとアグレッシブなユーモアで本作はあえて不快感を与え、娯楽性を啓発する破壊的なコメディを用い、そのアプローチを正当化している。」
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