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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのmokaのレビュー・感想・評価

4.6
人間の強欲さと先住民への差別に焦点を当て、実際に起きた惨劇を描いた歴史劇。

ストーリーの主軸は殺人事件だが、観客目線では本作はミステリではない。これが本当に良かった。こうなったのはディカプリオの進言によるものらしい。ありがとうディカプリオ。

金に取り憑かれた人間の醜い欲深さ、疑うこともない徹底的な差別感情が嫌になるほどねっとりと表現されていた。「オセージ族の命は犬よりも軽いんだ」。
一方アーネストとモリーの夫婦関係にだけ目を向けたら、そこには眩しくなるほどまっすぐな愛情がある。アーネストの動きはいつもこちらを不安にさせるものだったが、その愛情が伝わってくるからこそ悲しい気持ちにもなる。

全編息が詰まるような重さだが、良作なことには違いない。3時間半の上映時間に耐えられるのならば是非観てほしい。フィルム映画を見ているかのようになる表現も良かった。
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