EDDIE

ベルベット・バズソー: 血塗られたギャラリー​のEDDIEのネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

芸術の価値とは何たるや。絵画の商業的価値にばかり目がいく人間たちに襲いかかる恐怖の連続。

まず私アートの価値とかよくわからない人間です。絵を見て「おーすげー」とか「色彩豊かー」とか「なんか引き込まれるー」とかその程度しかわかりません。笑
そんな私にとってこの映画は果たして楽しめるのだろうかという心配をよそに、鑑賞後の考察に浸れる大変面白い映画でした。

ただおそらくホラー映画を期待して観ると少し肩透かしはあるので要注意。あんまりホラー得意ではないですが、あんまり怖くなかったです。

あとは私が大好きな俳優ジェイク・ギレンホールが主演というだけあって観ないわけにはいかないと。しかも「ナイトクローラー」のダン・ギルロイ監督とレネ・ルッソとのタッグ再び!ですよ。

まず主人公のジェイク演じるアート批評家のモーフ。彼は他人のアートをとにかく辛口レビューすることで有名。そんな彼によって人生を左右されたアーティストは枚挙に暇もありません。
そしてその恋人ジョセフィーナは、アパートの廊下で死亡している老人を発見し、それをきっかけにとんでもない絵画作品と出合ってしまいます。
彼女の雇い主であり画商のロドラ・ヘイズは絵に魅了され、金儲けの道具として作品を世に広めようと画策します。
そんなところから絵に関わった人々が不可解な死に巻き込まれていくわけですが、もう目が離せなかったですね。不思議と惹きつけられるその絵画の魅力から金儲けに走る人々が死んでいく様。これは商業主義化した現代をまるで風刺しているかのようでした。

果たしてこの映画が我々に伝えたかったことは何なのか。クライマックスのホームレス?が絵を5ドルで売っている場面や、新たな作品が生み出せないと悩みに悩んでいたジョン・マルコビッチ演じるピアースが、海辺で自由に作品を描いている様子がまさに商業主義の現代に待ったをかけている、そんな風に見て取れました。

ジェイクの演技は相変わらず素晴らしく、やはり彼の作品を観て損はないなと毎回感じさせられます。
あと、「ストレンジャー・シングス」に出ていたナタリヤ・ダイアーも本作でかなり出番があったので、これからの更なる躍進に期待が持てた次第です。

本作はおそらくかなり評価が分かれるのかなと。特にハッピーエンドかバッドエンドがはっきりさせてって意見が多い日本人(イメージですが)からすると万人に受け入れられる感じはないかもしれません。
映画鑑賞後の余韻や考察に浸るのが好きな方には合ってるのかなぁと思います。
EDDIE

EDDIE