もりあいゆうや

WALKING MANのもりあいゆうやのネタバレレビュー・内容・結末

WALKING MAN(2019年製作の映画)
1.3

このレビューはネタバレを含みます

日本を代表するラッパーであるANARCHYさんの初監督作品。
映画が好きで、ずっと作品を撮ってみたかったとのこと。

初監督作らしく、画面を3分割したり、スライドワイプを使ったり、スローモーションだったり、そういう変な効果がまったく効果的ではなく思いついたようにただ使われている。

撮影監督は芦澤明子さん。
やはり監督としては素人同然であっても、ちゃんとした画が撮れていて、しっかりとした演技ができる役者を使えば、それなりにまとまるんだなぁと思った。

ANARCHY監督の生き様が色濃く反映されているところと、伝えたいことが明確なところは良かった。

前情報からして、ドン底にいる若者(野村周平)が、ラップに出会って成り上がっていくサクセスストーリーかなと思ってたけど、違かった。
サクセスストーリーに求めるスカッとさわやかな爽快感は微塵もなかった。
ただひたすら暗い。
とにかく主人公を状況的にイジメる。
こんなに悲劇を味わう主人公は久々だ!
まずベースが悲惨。
父親が死んで、母親と高校生の妹との貧しい3人暮らし。妹との関係もうまくいってない。
吃音症。
名前がアトムだし、妹はウラン。
直接描かれたシーンはなかったが、おそらく友達・恋人・頼れる親戚もいない。
そんな中、母親が職場のレクリエーションでTWICEを踊っていたところステージから落下して重体。意識が戻っても今後歩けるかわからないほどの大怪我。
保険料未払いのため、入院治療費は全額負担。
そんな中、妹はスマホが欲しいだの修学旅行に行くからお金が必要だの、困らせるようなことを言ってくる。
そんで、妹は万引きしちゃうし、違法な風俗で働いちゃうし、妹の担任が母親と不倫してるのに気づいちゃうし、同僚にゲロかけられるし、その同僚となんとなく恋い焦がれてた韓国人が会社のワゴン車の中でセックスしてるのを見ちゃうし。
他にも色んな人からバカにされたりとか細かいのも色々。
とにかくもう悲劇が主人公を襲う。
中盤になっても終盤になってもまだやる!
もういいよって思わないのか?脚本家は?

そういう悲惨な状況を積み上げていったあげく、ラップを始めて奇跡の逆転勝利があるかと思いきや、何一つ解決しない。
急に暗転して一年経って、病室で母親と妹と韓国人女性が、仲よさそうな雰囲気を出して、スマホでアトムがラップしている様子を観る。
アトムが渾身のラップを披露して終わり。

???

そもそもラップも中々始めない。
ラップに出会うシーンとか、初めてマイクを握るシーンとか、必然的に盛り上がるシーンも、演出力のなさからドラマ性に欠ける。

急にぶち込んでくるギャグも寒いし意味不明。
「ミツヨさんですよね?」ってやつ。

そんな作品だけど、
主演の野村周平が作品の格を上げている。
ラップは下手だけど。
脇を固める俳優陣達は実力がある人ばかりでみんな良かった。