のすけ

ブラインドスポッティングののすけのレビュー・感想・評価

ブラインドスポッティング(2018年製作の映画)
3.3
期待しすぎた結果だったけど、こういった映画には珍しく、一つ盲点というテーマがあるのはおもしろい。
人間誰しも盲点だらけ。
広い世の中の点にも満たない小さな存在の自分。世の中に生かされているのに、「自分の中の世の中」として時に世界を斜めに見てしまう。
自分が見ている世界が全てだと思った瞬間、人は盲点だらけになる。

人に対しても同じ。この人は駄目だと決めつけた見方をロックした瞬間、良い部分が見えなくなり悪い部分ばかりを拾いあげてしまうようになる。
良いところと悪いところがあって、人間。
いろんな要素の集合体がその人。断片だけを切り取り、まるでそれが全てかのように見てしまうことで他の情報がブロックされてしまう。

黒人は○○。盲点だらけのアメリカ。
移民が多かったり黒人の犯罪率が高かったり銃社会だったりすることにも起因し、盲点が暴走し様々な社会問題にまで発展している。

でもよく考えてみてほしい。あのだまし絵だって、壺だったり顔だったりするけど、抽象的に見ればどっちも「絵」。黒人だろうが白人だろうが、 みんな同じ「人間」。アメリカ人だろうが日本人だろうが、同じ「地球人」。

自分が持っている情報なんてほんの一握りだし、自分が見ている世界もほんの一握り。
あのだまし絵のように一つの見方をロックしてしまうと、もう一つが盲点に隠れて見えなくなってしまう。
目の前に成功の種が転がっていても、過去の成功体験に縛られてしまい、チャンスが盲点に隠れて見えなかったりもする。
目の前にあってもそれを見えなくさせる。
ただ視界に入ってるのと、見て認識するのは違う。視界に入っていても実際は盲点に隠れて全く見えていない。

自分には見えていない部分がたくさんあるのだということを理解する努力をし続けることが、本質を捉えることに繋がる。
常に自分自身を後ろから見るようにしたい。

と、映画を観て感じた次第でした。