マクガフィン

JK☆ROCKのマクガフィンのレビュー・感想・評価

JK☆ROCK(2019年製作の映画)
3.0
結末に呼応する冒頭の音楽、偶然な出会い、「あー」と指を差す再開など、ベタで予定調和な青春音楽映画に。序盤の西村まさ彦の竹中直人のような大仰演技に頭が痛くなるが、後半に出番が少なくなることが幸いに。

主人公・福山翔大の情念を引きずり過ぎて停滞して残念。その分を補って余る活躍をしたヒロイン・早間千尋のバイタリティ溢れる猪突猛進さが作品をグイグイ加速させることが良い。微妙だが絶妙な表情も効果的に。男バンドも、女子高生3人バンドのDROP DOLLに軍配が上がる。面白味のない男キャラ・男エピソードが詰まらないことに呆れ、パープル色のスポーツカーのセンスの悪さも如何なものか。

スパルタ指導や、水中のシーン、身を挺して車を止めるシーンなど、様々な作品のオマージュと呼ぶには抵抗もある。また、失笑するエピソードや思わせぶりなシーンが幾つか挟んで残念だが、丁寧に積み重ねることが効果的にも。

それでも、女子高生ならではの瑞々しさや、青春の真ん中にいる爽快さや、バンドスキルの向上や目標に向かって突き進む疾走感や成長が良い。また、終盤の演奏をしていると、各々の背景にある鬱憤が解放して見れるので、大したものだ。

男2人のJKの対比や同義的なことが殆ど無く、思わせぶりな主人公の情念の背景に興醒めする。しかし、制作側が当初は意図していないであろうJKガールズパワーが全開なことが良かった。よって、題名のJKは女子高生の意味合いの方が強いことに。DROP DOLL中心にした作品にすれば良かったのに。