モッチモチねずみ

AI崩壊のモッチモチねずみのネタバレレビュー・内容・結末

AI崩壊(2020年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

筆が乗ったので長いです。
……


来る2030年、そこには医療システムに精通したAIの姿があり、日々集積されるビッグデータと研鑽されゆく学習能力により、何をするにも国民にとって最適な選択を提示し、ふさわしい恩恵をもたらしていた。

そんな人々の生活に浸透したAIがマルウェアの感染を契機に暴走し始め、人間の選別を始めるという。しかも犯人は開発者である主人公!?

違う!濡れ衣だ!俺はやっていない!
よーしこうなりゃ、警察に追われながらAIの暴走を食い止めるプログラムを構築し、真犯人を見つけて自らの身の潔白を証明し、あとなんか極寒のサーバルームに取り残された娘を救出してみせる!

というのがこの作品のざっくりなストーリー。
「逃亡者」とか「マイノリティ・リポート」みたいな映画を彷彿させる。

気になった点
・明らかに医療目的を超えたAIの越権行為。
 医療AIが誤作動し心肺停止と誤診→連携している車載AIがその情報をもとに車両を停止するケースは(どうして医療AI風情が車の機能を掌握しているのか理解に苦しむが)一応許容できる。が、医療AIの誤診の結果、どうして口座の残高が0になるのか。口座管理まで医療AIがやっているのだろうか?

・賢い医療AIちゃんは主電源を切られてもサブ電源に勝手に切り替えちゃいます。
 ウイルスに感染した社内PC。慌てたあなたが感染拡大を防ぐためにシャットダウンを図るのは正しい。だがそのPCのシャットダウンボタンは押せども押せどもうんとも言わず、やむを得ず電源コードをぶった切る。しかしPCには内部電源があるぞ、もう打つ手はないのか?いや、LANケーブルを抜け。あるいはAPを止めてwifiを切れ。
 いくら超優秀なつよつよAIが搭載されたサーバでも各所のシステムへの介入やデータのやり取りを行うにはNWを介した通信が必要になる。ならデータセンターの光ファイバーを抜けばいいのでは?

・2030年にはどんな機械もリアルタイムでクラウドに情報をアップする
 逃げども逃げども追ってくる警察。その秘密はいたる所にある監視カメラや車載カメラ、はたまた道行く人のスマートフォンのカメラを警察のサイバー課が有するAIを介して即座に主人公の行方を探れるからである。ネット通信可能なドラレコなんてあるのか?と思って調べると、実は既にクラウド対応型のドラレコがあるらしい。これは私が無知なだけだった。

・医療AIより質の悪いサイバー課AIと黙認するリテラシーのないサイバー課員
 曲がりなりにも利用者の了解の下データを集積している医療AIに対して、犯人検挙の為に無作為にカメラのデータを取りまくるサイバー課AI。不正アクセス禁止法への挑戦に他ならない。ホワイトハッカーがクラッキング行為はいただけない。

・最先端を行く医療AIには膨大なランニングコストが掛かる
 重すぎるコスト。シェイプアップには余計なシステムを省くに限る。手始めにセキュリティサービスがいいだろう。これなら不正ログに気が付く者はいないし、医療AIはマルウェアが送られてきても自己診断を実施しないで受け入れる。いっそ会社の運営もAIに任せた方がこんなことにはならなかったんじゃ……

・社外PCが医療AIのアクセスログを閲覧。しかし……
 社外PCがVPNで社内NWに入ってSyslogサーバへアクセスするのは分かる。が、社外PCが匿名サーバを経由して社内NWにアクセスするのはやっぱりセキュリティ上問題では?それともdmzにログサーバがあるのか?
そもそも匿名サーバ経由なのに社用PCからのアクセスだとなぜ分かる?疑問は絶えない。


まだまだ言いたいことはたくさんあるけど紙幅がそろそろ無いのでここで止めておきますね。
以上、お疲れ様でした。