あなぐらむ

レイプハンター 狙われた女のあなぐらむのレビュー・感想・評価

3.5
一貫してバイオレントなロマンポルノを作り続けた澤田監督80年の作品。

世間体(というより母)を気にする夫に不満を抱えた人妻が、運命の悪戯からレイプ犯と逃避行に至るニューシネマ的一本。脚本に斉藤信幸、撮影はゼンコウさん。
山西道弘に清水宏、何より松田優作出演&怪演の、東映セントラル好きにも大変貴重な作品。

主演の岡本ひろみはまだ固い芝居ながら眼光鋭く、ヒロインを好演。渡辺とく子作品はやっぱり巧いね。主役は林ゆたか(「暴行切り裂きジャック」)で、草薙良一も良いサポート。鶴岡修も効いている。
澤田演出は長谷部さんの様な絵画的な組立ではない、パンチ重視のライブ感ある作品に仕上あげている。

優作さんの登場シーンがどうしても注目される本作だけど(このシークエンスだけアフレコではなく同録である)、タイトルバックから一気になだれ込むアクション、というよりノワール映画としてのソリッドな佇まいが素晴らしいと思うんだ。ラストがまたいい。
澤田幸弘の刹那的な感性はもっと評価されて良かった。
何気に本作が澤田監督、最後のロマンポルノ。
今年9月に逝去されたそうで。89歳。お悔み申し上げます。