カズナリマン

ゴーストランドの惨劇のカズナリマンのレビュー・感想・評価

ゴーストランドの惨劇(2018年製作の映画)
2.1
うーん、パスカルロジェのホラーって、単に怖がらせるエンタメじゃなくてサディスティックな行為が「愉しみ」として描写されているような気がして、アジャとか他のフレンチホラーより居心地が悪いんですよねー。
他のフレンチホラーとかって、暴力は何かサバイバルや死と直接結びついてるから「サバイバル」と言うテーマが浮かび上がってきて、ホラーエンタメとしてありなんだと思うんです。
でも、マーターズないし本作って、そのバイオレントな状態を描くのが本題すぎて、「そこからの脱出」がテーマな他のフレンチホラーと比べて、気持ち悪いんですよねー。「ほら、こんな暴力面白くない?」って言われてるような…
今回の設定も結局は「女性が囚われて人形にされるとはどういうことか?」と言うのをなんか面白げに見せられてる気がしちゃう。
もちろん、アメリカのホラーだって蝋人形の館とかホステルじゃないけど、そんなのいっぱいある気もする。でもそれらがちょっと違うのは、現代にさもありなん!なシチュエーションが本題になってたり(ホステルとかね)、アトラクション的な設定の怖さ(蝋人形)で勝負してる気がするから、なんか「怖!」って笑えてすむだけな気がする。
だけどなんでしょう。
本作とか、サバイバルホラーではあるけど、「されること」がリアルすぎて、半分監督の願望を見させれているような…錯覚が起こっちゃう気がするんです。
別にこの手のホラーを否定したいわけじゃないし、他にもっとリアルな描写のドラマ映画もいっぱい見てきたけど、ドラマは「エンタメ」としてその描写を見せてないから気にならないんですよねー。
ラースもミシェルフランコも、ハネケもその辺エンタメ意外のメッセージで落とし前つけてる気がする。
本作はラブクラフト突っ込んだり、無理矢理どんでん返ししたり、女性の強さを強調してるように見えるけど、その中心に「女子がお人形にされたら?っての見せたいだけなんじゃないのかな…」と変な居心地の悪さがいつまでも残ります。これって怖がって終われないよね…的な。
ロジェならトールマン派ですね!