あーさん

シネマ歌舞伎 廓文章 吉田屋のあーさんのレビュー・感想・評価

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シネマ歌舞伎2022 第4弾

人間国宝 片岡仁左衛門と板東玉三郎 2大スターのインタビューの尺が、思いの外たっぷりと。
はんなりとどこまでも柔らかい仁左様なのだが、父親である先代仁左衛門さんの話、三男の自分が親の名前を継ぐとなった時の話、もはや家族のような玉三郎さんとのご縁、、等聞くうちに、ここまでの道のりが決して平坦ではなかったことが窺い知れた。
上方歌舞伎の話、東京に進出した時の話も、関西人の私にはとても興味深かった。
そして、玉様はやはりストイックで歌舞伎に対する情熱に溢れ、穏やかに話していても、その熱さがビシビシ伝わって来る。
若かりし頃のパリ公演でのスナップ写真が紹介されていて、お二人とも只者ではない雰囲気。。本当に素敵❗️

こういうのもまた、本編とは別の楽しみで得した気分♪

今作であるが、、
何とまぁ、華やかで楽しい、お正月らしい演目だろうか(今の時期には季節外れではあるが…🎍)。

クールでニヒル、はたまた振り切れたクズの役がここの所多かったせいか、こんなに平和的な仁左様を見るのも珍しい。
上方歌舞伎の初期の頃の代表作。
遊びの為に家のお金を使い込み(ここはお馴染み💦)勘当された藤屋の若旦那 伊左衛門(片岡仁左衛門)は、諦めきれずに愛しい想い人である大夫 夕霧(板東玉三郎)を訪ねて吉田屋へ赴く。
すったもんだで中に入れてはもらうのだが、夕霧が居合わせない事に腹を立て、すっかり拗ねた伊左衛門。
はてさて、伊左衛門とそこへひょっこり現れた夕霧の口舌(痴話喧嘩)が始まった。。
炬燵やら巻物やら、小物の使い方が秀逸!踊りがまたチャーミングったら♪♪
太鼓持ちで出てたのが巳之助さん⁉︎ 何ともお若い。。

ドロドロせずに、最後の最後にめでたしめでたし…となる展開は、いつものパターンからするとちょっと肩透かしなほどなのだが、設定もちょうどお正月で(掛け軸やお飾りのしつらえがまた楽しい♪)、こんなのもたまにはええんかな、と思わされる。

絢爛豪華な衣装を纏った安定の美しさの玉様、拗ねたり笑ったり忙しいキュートな仁左様を見ているだけで幸せな気持ちになれる。。

おめでたい絵の掛け軸や餅花、枝垂れ柳のお飾りを見ていると、義実家でのお正月を思い出す。
コロナ禍より前から、もう高齢になってだんだん簡素化してしまっていたが、昔は華やかだったなぁ…。

その頃は歌舞伎なんて全く興味のない私だったけど、ここに来てこんなに歌舞伎にハマっている私のことを知ったら、義両親は驚くだろうな。コロナ禍で会えていないけれど、今度会ったら歌舞伎の話をしてみよう♪
もっと若かったら、一緒に観に行けたかもしれないなぁ。。
子育てでそれどころではなかったから、仕方ないのだけれど。

インタビューが長くて少々船を漕ぎそうになったけど笑、今回も良かった!

夢を見させてくれる歌舞伎の沼にまたズブズブと。。
あーさん

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