ダイゴロウ

男はつらいよ 寅次郎恋やつれのダイゴロウのレビュー・感想・評価

3.7
シリーズ第13作目。

島根の温泉津にて共に働いている絹代さんと所帯を持ちたいと考えて柴又に帰ってきた寅さん。
寅さんが具体的に所帯を持ちたいと意思表示するのは珍しいので、相当良い関係だったのだと思われる…。
相手に会おうとさくらと社長に付き添われて温泉津に赴くが、その場で蒸発した亭主が戻ってきたと嬉しそうに告げられ、絹代の幸せを想い、そっと身を引く…。
前半からいきなり振られるという珍しい回。
出張との抱き合わせではあるが、付き添ったうえに、やけ酒にも付き合ってくれる社長の優しさも良し。

本作のヒロインは第9作『柴又慕情』のヒロインであった歌子(吉永小百合)で、ヒロイン役二度目の登板はシリーズ初となる記念回。
後半の歌子さんパートは寅さんの恋と言うより、歌子と父の仲を取り持つ話で、寅さん自身も恋愛感情よりも「幸せになってほしい」との気持ちが強かったように思われるので、珍しくハッピーエンドの作品とも言える。とは言え、いささかお涙頂戴のクライマックスがシリーズらしからぬ雰囲気でいまいち楽しめなかった気もする。

ただ、歌子の父のような、気難しそうなおじさんと分け隔てなく接して、壁を取っ払ってしまうシーンのような、寅さんの強みが発揮される展開は個人的にお気に入りなので、その点では満足。
おじさんから一目置かれがちなのも分かる寅さんの魅力の一つです。