けーはち

五億円のじんせいのけーはちのレビュー・感想・評価

五億円のじんせい(2019年製作の映画)
3.6
生来の難病を五億円の募金により手術を受けて克服、社会に御恩返し出来る立派な人間に、とのお仕着せの理想像に苦しみ死を思い悩む少年、「五億稼いでから死ね」と匿名で煽られ……

人生の最初に五億円もかかるのは稀だが、人間一人育つためには両親や誰かが愛情やコストをかけており、誰かがその代価を取り立てに来るわけではないにしても、その重さに相応しく価値ある人であれるか悩むという思春期の話。

少年は労働で辛酸を舐め、社会のダーティーな部分、それと裏腹に様々な人の情も知る。彼の状況は変わらずとも少なくとも生への迷い、負い目を振り切り前向きになる。主人公が男子ゆえか性的搾取の扱いが軽いし(某芸能事務所の話を思い出す)地味で陰鬱な話になる所を荒唐無稽気味に転がすので見応えはあるものの逆に奇跡で綺麗に纏め過ぎ説得力が減じた気もするが、爽やかで軽快なロードムービー青春成長モノとなっている。