「5億円がふさわしい人間」ってなんだろうね。
子どものころ募金で手術し、無事に成功した主人公。その募金額が5億円。
募金してもらったんだから。みんなに支えてもらったんだから。もちろん有り難いことで感謝だって当然してると思うけど、でもそれっていつまで続くんだろう。テレビでは毎年のように特集され、どこに行っても顔が知られている。今ではすっかり日常を送れるようになっています、なんて奇跡のように報道する。そうだよ、彼にとってはもう日常なのに。手術後の人生は、他の人と大差ないのに。
劇的であって欲しいと、将来の夢に繋がりが欲しいと、勝手に思うんだろうね。人の人生を勝手に物語にしちゃいけないよ。
この世には優しい人と優しくない人がいるんじゃない。優しくしたくなるやつと、そうじゃない奴がいるだけ。