空

ラストナイト・イン・ソーホーの空のレビュー・感想・評価

4.0
かわいくて楽しくて面白くて、でもしっかり怖くてちょっと考えさせられる、そんな映画。

華やかなりし60年代のスウィンギング・ロンドンに憧れを持つ女子学生が、夜な夜な見る幻影を通して当時のショービズ界の闇に触れ、失望し、更には……というお話。ファンタジックな前半部から思いのほかがっつりホラーな後半部へのシームレスな繋がりが小気味よく、サスペンス要素も(半分くらいは途中で読めてしまうものの)なかなか凝ってて惹き込まれる。物語の導入や印象的なネオンの色彩は『サスペリア』のオマージュっぽい。

特筆すべきはキャストのレベルの高さで、特に主演2人はどちらも超ハマり役。『ジョジョ・ラビット』で素朴なユダヤ人少女を演じたトーマシン・マッケンジーは徐々に垢抜けていく田舎娘にピッタリだし、小悪魔的美貌のアニャ・テイラー=ジョイも夢破れたショーガールの苦悩と狂気を見事に怪演。60年代にボンドガールを務めたダイアナ・リグ(本作が遺作とのこと)があの役柄というのも、観た後だと一層意味深く感じられる。

あ、あとサントラが最高なのは流石エドガー・ライトってところ。
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