ポアロの髭の秘密が明かされる冒頭のシーンが印象的。
「人は愛ゆえに殺人を犯す」
エマ・マッキー演じるジャクリーンが魅力的で、髪型と言い、赤のドレスと言い、似合い過ぎていた。
故に物語の展開上、犯人も動機もわかってしまったのだが。
ポアロの推理法は、誰か一人を容疑者と見立てるのではなく、全員を容疑者と見立て、尋問により真実を明るみに出すというもの。
人間観察に優れ、些細な言動から人物の性格を読み取る。
自他共に認める世界一の名探偵と評されるが、最後に犯人を死なせてしまったのは探偵として失格だと思う。
原作が発表された当時は、コロナ禍の今と同様に海外旅行へのハードルが高かった。
人々は観光小説として受け取った面もある。
本作の風景の撮り方は、明らかに観光を目的としている。
コロナ禍の現在と1937年が繋がる不思議。
本作の観客はエジプト旅行の気分を味わえるだろう。