風の旅人さんの映画レビュー・感想・評価

風の旅人

風の旅人

青春18×2 君へと続く道(2024年製作の映画)

3.5

「旅は何が起こるかわからないから面白い」というのは作中の台詞だが、何が起こるかわかってしまうのが本作の弱点。
清原果耶の透明感は魅力的だし、18歳と36歳のジミーを演じ分けたシュー・グァンハンの演技は
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名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)(2024年製作の映画)

4.0

オールスター感謝祭。
青子、沖田、鬼丸まで出てくる展開に思わず笑みが漏れた。
『YAIBA』から『コナン』に入った世代にとっては感慨深いものがあった。
エンディング後のおまけで明かされる秘密には別段驚
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プリシラ(2023年製作の映画)

3.5

マザコンでロリコンのプレスリー。
まともな神経でスターは務まらない。
心の安らぎを求めるスターとスターに憧れる少女の歪んだラブストーリー。
プレスリーの意のまま着せ替えられ、所有物として扱われてきたプ
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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.0

歳を重ねれば重ねるほど「もしも」の感覚は強くなっていく。
人生における主体性と運命。
単なる偶然の出来事に意味を見出すのが人間という生き物。
初恋の思い出は美化され、記憶の底に冷凍保存される。
下を向
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花腐し(2023年製作の映画)

4.0

ひょんなことから出会った男二人が亡くなった一人の女性について語り合う。
伊関(柄本佑)は栩谷(綾野剛)の影のような存在で、まるで自分自身と対話しているようだ。
韓国スナックではMaroon5の鎮魂歌「
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ミステリと言う勿れ(2023年製作の映画)

4.0

ある種の信仰に対する疑いが、そのまま物語全体の謎解きと連動している様に快感。
先祖から連綿と受け継がれてきた因習(チェーン)を断ち切ることの難しさ。
久能整(菅田将暉)のキャラクターの面白さもさること
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キリエのうた(2023年製作の映画)

4.0

思えば、岩井俊二は『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』の頃から、「if」の世界に自覚的だった。
もし震災が起こらなければ、彼らの人生は今とは違ったものになっていただろう。
路花と真緒里は出
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ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

4.0

足技のスペシャリストの退場、パリスの行動原理、戸田奈津子の字幕等、気になる点はあるが、概ね満足。
「自分の命より他人の命を大事にする」イーサン・ハントは、しかしながら主人公という特性上、決して死ぬこと
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岸辺露伴 ルーヴルへ行く(2023年製作の映画)

4.0

原作未読。
人生に後悔は付き物だ。
本作を観る者は、その過程で自身の過去と対峙する。
過去から逃れることはできない。
後悔が強ければ強い程、本作は胸に突き刺さる。
もしかしたら真相は明かさず、岸辺露伴
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名探偵コナン 瞳の中の暗殺者(2000年製作の映画)

4.0

「お前のことが好きなんだよ。
この地球上の誰よりも」

この台詞に尽きる。
コナン映画史上最もロマンチックな作品。
トリックがどうとか、ミステリーとしての完成度がどうとかはどうでもいい。
ヒロインが記
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名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)(2023年製作の映画)

3.5

「見た目は子供、頭脳は大人」という設定は、かつて子供だった大人から現在の子供までファンを増やし続けられる優れた戦略である。
「コナン」の連載が始まったとき、僕は小学生だった。
当時、青山剛昌の前作『Y
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ブラックライト(2021年製作の映画)

3.5

リーアム・ニーソンを出しとけば何とかなるという作り手の怠慢。
設定の面白さを活かせていない。
後半の尻すぼみ感にがっかりする。
強迫神経症の主人公の行動はリアルだった。

バビロン(2021年製作の映画)

4.0

盛者必衰の理。
時代が変われば立場も変わる。
サイレント映画からトーキー映画への移行。
かつてのスターは勢いを失い、破滅への道をたどる。
映画に夢を見た人々の熱狂、夢から覚めた後に待ち受ける現実の苦味
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かがみの孤城(2022年製作の映画)

4.5

大人にとって学校は世界の一部でしかない。
しかし子供にとって学校は世界のすべてと言っても過言ではない。
心を病んだ子供に大人がかける言葉は、学校に行かないという選択肢を与えるものでなければならない。
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THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)

4.5

まさかの主人公宮城リョータ。
類型的な過去の描き方に賛否があると思うが、それが気にならない程3DCGで描かれた試合の没入感が素晴らしい。
自分は原作もアニメ版も鑑賞済みだが、映画は別物として観たので、
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すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

新海誠、震災三部作最終章。
今作は過去ニ作と違い、MV的な要素はなく、エモさは控えめになっている。
その分物語としての盛り上がりに欠け、過去ニ作のような展開を期待する観客にとっては肩透かしを食らうかも
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アムステルダム(2022年製作の映画)

3.5

人間の自由意志をめぐる物語。
必要と選択。
友達や恋人は外在的な必要に迫られて作るのか、それとも自分の内なる声を聞いて選ぶのか。
面白そうなテーマなのにストーリーテリングが回りくどく、間延びして退屈に
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四畳半タイムマシンブルース(2022年製作の映画)

3.5

四畳半というスケールの小ささとタイムトラベルというスケールの大きさのドッキングが面白い。
輝かしい青春ではなく、悶々とした青春。
まさかのラブストーリーだが、それが前面に出ることはない。
残念なのは、
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沈黙のパレード(2022年製作の映画)

3.5

登場人物のバックグラウンドの描写不足はあるものの、序盤から感じられた物語の違和感は、最終的に解消された。
相変わらずのキャラクターの魅力。
湯川先生と内海刑事とのやり取りは微笑ましい。
それとは対照的
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夏へのトンネル、さよならの出口(2022年製作の映画)

3.5

一度失われたものは二度と戻らない。
そんなことは誰もが知っている。
しかしそれが大切なものであればある程、人はそれに固執する。
あの時こうしていれば......。
後悔の念は積もりに積もり、人を変えて
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からかい上手の高木さん(2022年製作の映画)

4.5

どこにでもある何でもない日常は、実は二度と戻らない奇跡のような時間だった。
我々は日常がどこまでも続いていくと思っているから、それを気にも留めないけれど、そこには常に「終わり」の気配が漂っている。
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トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

4.0

絶滅寸前の恐竜のような存在。
キャプテン・マーヴェリック。

「だがそれは今日ではない」

還暦間近でもトム・クルーズはまだ終わらない。
現役にこだわりつづける。
やっていることはまんま「ミッション:
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ハケンアニメ!(2022年製作の映画)

3.5

セクハラ・パワハラが横行するアニメ業界を「アニメ好き」というエネルギーで生き抜く新人監督の齋藤瞳(吉岡里帆)。
かつて伝説的アニメ作品を生み出し、その後それを超える作品を生み出せず、苦悩する天才監督の
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流浪の月(2022年製作の映画)

4.0

世間一般には「女児誘拐事件」として知られる加害者と被害者の真実。
加害者である文(松坂桃李)は、世間から「ロリコン」「変態」というレッテルを貼られ、名前を変えひっそりと暮らしていた。
一方被害者である
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名探偵コナン ハロウィンの花嫁(2022年製作の映画)

3.5

コナンのジャンルはいつから「ミステリー」ではなく、「アクション」になったのだろう?
初期の推理に重きを置いていた頃が懐かしい。
本作も話の展開上、犯人に驚きがなく、終盤の現実離れしたアクションが目玉に
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女子高生に殺されたい(2022年製作の映画)

3.5

全員美男美女の高校に赴任した東山春人(田中圭)は、「女子高生に殺されたい」というオートアサシノフィリア(自己暗殺性愛)を持っていた。
東山がなぜ「女子高生に殺されたい」という願望を持つようになったかの
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TITANE/チタン(2021年製作の映画)

4.0

何の理由もなく、殺人を犯したアレクシア(アガト・ルセル)が、行方不明の息子の幻影に囚われた消防士ヴァンサン(ヴァンサン・ランドン)に出会うことで、「愛」という物語に組み込まれていく衝撃作。

幼い頃に
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アンビュランス(2022年製作の映画)

3.5

無駄に多い登場人物(どんどん増える)、シリアスな展開の中に差し込まれるアメリカン・ジョーク、ツッコミどころ満載の大雑把な設定。
さすがマイケル・ベイ笑。

妻の実験的手術が保険適用外になったウィル(ヤ
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ガンパウダー・ミルクシェイク(2021年製作の映画)

3.5

ストローを二つ付けたミルクシェイクを頼み、ダイナーで母親の帰りを待つ少女。
母親は殺し屋で、自分が所属する組織の関係者を殺してしまい、少女の前から失踪する。
10年後、殺し屋になったサム(カレン・ギラ
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THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

4.0

正義と悪はコインの表と裏。
強過ぎる正義は悪と見分けがつかない。
悪を滅ぼすためには何をしてもいいのか?
その時、マスクの下の顔は怪物に変わっていないか?
バットマンは闇に潜んでいるのではなく、闇その
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ナイル殺人事件(2022年製作の映画)

4.0

ポアロの髭の秘密が明かされる冒頭のシーンが印象的。

「人は愛ゆえに殺人を犯す」

エマ・マッキー演じるジャクリーンが魅力的で、髪型と言い、赤のドレスと言い、似合い過ぎていた。
故に物語の展開上、犯人
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余命10年(2022年製作の映画)

4.0

10年という歳月は短くもあり長くもある。
中学生の時に埋めたタイムカプセルに入っていた未来の自分へ宛てた手紙は、現在の自分の姿とはかけ離れた内容だった。
10年後、自分はどこで何をしているのだろう?
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グッバイ、ドン・グリーズ!(2022年製作の映画)

4.0

作画が綺麗で、ストーリーもノスタルジー溢れる感動作。
予算の都合か、ロウマとトトの過去、ロウマとドロップの出会いのシーンが描かれておらず、あと30分尺があれば傑作になっていたかもしれない。
ひと夏の冒
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ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)

4.5

世の中には二種類の人間がいる。
自分で目的地を決めて一人で走る人間と、他人が決めた目的地に向かっていっしょに走る人間。
ダンサーという夢に生きてきた照生(池松壮亮)にとって、怪我による挫折はある意味で
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ウエスト・サイド・ストーリー(2021年製作の映画)

3.5

本作を恋愛映画として観た場合、極めて物足りない。
トニー(アンセル・エルゴート)とマリア(レイチェル・ゼグラー)の馴れ初めのシーン。
その他大勢がダンスを踊る中で、二人だけが互いに見つめ合い、恋に落ち
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355(2022年製作の映画)

3.5

悪役が悪に徹し切れず、その甘さが仇になり身を滅ぼす。
どこか間の抜けた展開。
メイス(ジェシカ・チャステイン)が古典的な女性の幸せに絆されるのは、『女神の見えざる手』のスローンを演じたジェシカ・チャス
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