創氏改名と並んで歴史から揉み消されようとしてる慰安婦問題について、様々な立場の人たちのインタビューを交えて私たち日本人に問う作品。
修正主義者たちの発言や態度が気に食わなすぎる。
保身のためか所属する組織のためかそのモチベーションの出所が不明すぎるが、なぜ慰安婦の史実を歪曲させ、葬り去ろうとするのか。
質問に対しての彼らの回答が的外れだったり、言葉が支離滅裂で納得感ないし、それなのに表情が人を馬鹿にしたり変に自信満々だったりで鼻につくし、深刻な問題なのに面白くない冗談言ったりしてて、自身の利益のために人の尊厳を平気で損なえる人間性ってやっぱり出ちゃうんだなと合点した。
非人道的な戦犯を主導したとして拘留されていたA級戦犯者岸信介を、アメリカが朝鮮戦争に日本に軍事的協力させるために裏で手助けをして首相にまでさせたことを初めて知った。
そして、岸の思想がチューニングされた孫が安倍晋三であることにゾッとした。
彼を筆頭に美しい国ニッポンを目指し勃興した日本会議のメンバーたちは、本当に人の悲しい涙を自身の養分にすることになんの罪悪感もないのだろうか。(なさそう)
この映画では南京大虐殺の史実を正しいと認め、考えを改めた元修正主義者が1人でてきて、僕は救われた気持ちになった。
彼女はエビデンスに基づいたとても練られた意見を発し、自身の正義感に基づく凛とした態度でとても素晴らしかった。自身の過ちを認めた者は強い。
彼女の意見を引用したい。
「国のためを思うなら、間違いを認めなければならない。修正は完全に逆効果だ」
過ちを認めないばかりか過ちを正しいものとして修正しようとするのは弱い者のやることだ。
僕は元軍人の証言と元慰安婦さんの涙を忘れないだろう。
余談だが、インタビューに答えた人の中に憲法学者の小林節氏がでてきて驚いた。
学生の時、死刑賛成論者の氏に、死刑廃止の考えを持った僕がアポをとってわざわざ三田まで会いにいったことがある。
結果は氏のドタキャンだった。
今回、慰安婦問題に関しては僕と氏の考えは近いようだが、「エイジェンシー、庁ですねえ」「ヒューマンライツ、人権ですねえ」と、ちょっとボキャブラがルー大柴よりもある、やはり少し気に障る方だった。
