ノラネコの呑んで観るシネマ

帰ってきたムッソリーニのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

帰ってきたムッソリーニ(2018年製作の映画)
4.1
あの「帰ってきたヒトラー」のイタリア版リメイク。
基本的には同じ話で、さすがにオリジナルほどのインパクトは無いが、色々ローカライズされていて、キャラクターの違いも生かされていて面白い。
オリジナルよりも尺が刈り込まれ、全体的に陽気でコメディ色が強いのが特徴。
イタリアにはムッソリーニの立派な廟もあるし、子孫も著名人が多く、ヒットラーほど悪一色イメージ一色では無いのが大きいのかも。
イタリアそのものも、大戦勃発時には枢軸国だったのが、ムッソリーニ政権が倒れると、今度は連合国に寝返ったり、複雑な歴史が作品の微妙なカラーの違いに繋がっているのがリメイクの醍醐味。
オリジナルと同じく、ドキュメンタリー手法の市民インタビューなどが挟まれるが、この手のアジテーションがいつの時代も一定の力を持っちゃうのが恐ろしいところ。
ファシズムは国民の中にある。
NHKなんちゃらに議席を与えしまった日本人としても、決して笑って済ませられる話でもなく。
実際このおじさん、現代日本に現れても人気者になっちゃうんじゃないか。
悪魔はピエロのフリをして現れるのである。