たき

もみの家のたきのレビュー・感想・評価

もみの家(2019年製作の映画)
4.0
南沙良が引きこもりJKということで観ました。←どういう動機だ。

この世界との、付き合い方のお作法のおはなし。か。
珠玉としか言えない。久しぶりに変な声が出ました。

望まぬ現実がそこにあるとき、ひとは時になんでそうなのかと責め立てることしかできなかったりするのですよね。
なんでそうなったのか、まずは原因を調査して、その結果によって適切な処置をしなければ解決なんてできないのは自明の理なのに。だ。

とはいえだけどそれは、ただ単に方法が間違ってるだけ/拙いだけで、そこに愛がないわけじゃない。決してない。

当事者だけでは(当事者だからこそ)気づくことができないのがまたせつないおはなしではあるのですけれど。

世界は広いけれど、広いからこそいろんなひとがいる。
だから居場所なんてなかなか見つかるもんでもなくて、ようやっと見つかったと思ったらいとも簡単に崩れ落ちたりもする。
どうせ崩れ落ちるものならば、最初から求めなければいいと自暴自棄になってしまったりもするのだけれど。

あくまで崩れ落ちてしまっただけで、消えてしまったわけじゃない。

愛されたという実感があったからこそ、拙い親の愛も信じることができたということなのでしょうし、同時に雪かきしてたときの泰利の言葉の証左にもなっているのですね。(ダメ押しは恵さん) グリーフケアにも則っているし、なんというきれいな脚本。

キャスティング的にまた南沙良が鼻水垂らして泣きじゃくるとこをこころのどこかで期待してなかったといえば嘘になりますごめんなさい。
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