りょう

ひとよのりょうのレビュー・感想・評価

ひとよ(2019年製作の映画)
3.6
 3年ぶりくらいで2回目を観ました。白石和彌監督の作品としては地味ですが、安心できるクオリティです。物語そのものは壮絶なのに、どことなく描写がソフトで優しい雰囲気があります。
 夫殺しの稲村こはるの犯罪は、初犯で自首して、しかも緊急避難の要素もあったのに、懲役刑が執行猶予にならなかったものかと思います。国選弁護士だったのかも…。子どもたちがあんな暴力に遭っていたのに、警察とか児童相談所とか、他にもっと解決方法があったはずです。
 そんな野暮なツッコミをすると物語が成立しないし、原作があるようなので、この設定を前提に観るしかありません。長男、次男、長女の3きょうだいは、自分と一緒で、しかも次男だけが地元を離れていたり、末っ子が不仲の家族をとりもつというパターンはよくあることのようです。
 長男には吃音があって、コミュニケーションが苦手なのかもしれませんが、夫婦の会話もままならず、こんな特殊で過酷な境遇にあるきょうだいの年長者なら、もっと意思疎通をしなければ、当然のように家族は崩壊します。母親は子どもたちとの面会をずっと拒否していたのでしょうか。
 2人の兄を演じた鈴木亮平さんと佐藤健さんは悪くありませんが、どうにも役作りが過剰な印象です。それとは対照的に、松岡茉優さんはいつも自然体で、それでいていろんな役柄を違和感なく演じているところがすごいです。
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