一人旅

スケアリーストーリーズ 怖い本の一人旅のネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

アンドレ・ウーヴレダル監督作。

曰く付きの屋敷で古い本を拾った高校生達を襲う恐怖を描いたホラー。

米国人作家:アルヴィン・シュワルツによる全3巻からなる短編集シリーズ「Scary Stories to tell in the dark」を、製作:ギレルモ・デル・トロ、監督:アンドレ・ウーヴレダルにより映画化した青春怪奇ホラーです。

1968年のハロウィンの夜、一家の娘が監禁されていたという曰く付きの古いお屋敷に興味本位で侵入した高校生達が、当時娘が自作の物語を書いていたとされる一冊の本を手に入れたことを発端に、本を見つけた高校生達がその後一人ひとり消息を絶っていく様子を描いた怪奇ホラーで、ヒロインの女子高生が手にした本の白紙ページに新たな物語が独りでに書き記されていくと、その物語に名前が登場した人物(ヒロインの友人)が物語の筋書き通りに悲惨な最期を迎えていく―という“物語(フィクション)が現実に起こる”パターンの異色作となっています。

登場人物ごとにその人専用の物語が用意されているため、一種のオムニバスホラーのような形式を採っているのが特色で、物語によって登場するモンスターや襲撃スタイルが異なりますので、“次はどんな物語で、誰がターゲットで、どんな結末を迎えるのか”―と興味津々に観られます。激しい憎悪を抱いて死んだ娘が遺した呪いの本を巡る、高校生達の真相究明&事態解決に向けたミステリータッチの奔走劇と、そうこうしているうちに本に記されていく新たな物語によって非業の末路を迎えていく仲間達の個別ホラーエピソードが同時並行で描かれていく構成が巧みでありますし、“頬から無数の蜘蛛が這い出てくる”&“醜悪ババアに四方八方取り囲まれる”といった多彩な恐怖演出で恐がらせてくれます。

製作のギレルモ・デル・トロが少年時代に強い影響を受けた思い出のホラー短編集を、『ジェーン・ドウの解剖』(16)が見事な出来だった鬼才:アンドレ・ウーヴレダルが製作者の期待に応えて丁寧に映像化したオムニバス風青春怪奇ホラーであります。
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