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Guava IslandのLCのレビュー・感想・評価

Guava Island(2019年製作の映画)
3.8
面白かった。

55分でとても見やすく、メッセージもシンプルで受け取りやすい。
怖い場面もなく、臆病な私でもずっと画面を見続けられる。素敵。

作品が始まって早い段階で聴くことができる「 This is America 」は、アメリカ人側の目線で書かれた、という見方が強いものだ。本作では、アメリカの外の者の視点で使われており、ひとつの作品が持つ意味の広がりを垣間見る。

「彼の夢は、いつか島民を団結させ、島の力を思い出させること」とのプロローグがある。
島の力を思い出すことが難しい環境で、彼が脅しに屈せず歌い続けた意味を考えたくなる。
彼の思いは、音楽として残り続けるだろうけれど、記憶や歴史はどこまで残り続けるのだろう。楽しい音楽として消費するにとどまることも多い。記憶や歴史に触れる機会が、どれだけ持てるか。

幸せに生きよう。幸せを削る仕組みに疲れたなら、団結して声をあげよう。やり方がわからなければ、音楽がある。楽しく歌って踊ろう。
本当に人のことが好きで、ひとりひとりの力を信じていたんだね。そして、支配下にあるその島を、ずっと愛していたんだ。

確かに音楽は人の心をひとつにする力があると思う。
だからこそ、その力を使って訴える者の少ない状況も見ると、少し切なくもなる。アーティストが既に飼い慣らされた世界に生きている可能性。
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