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燃ゆる女の肖像のasukaのレビュー・感想・評価

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)
5.0
私が心をひらけば、自ずとあなたも心を開いてくれる。
私が笑顔で接すれば、自ずとあなたも笑顔になる。
気づけば足音を聞くだけで、あなただとわかる。
自分ですら気づいていなかった癖をたくさんあなたが知ってくれている。
これはお互いに相手のことをよく見ていたからこそ。

そして、あなたのことを知れば知るほど、愛しさが募る。
だから、もっともっとあなたのことを知りたくなる。
あなたと過ごすことのできる時間がもう限られていると気づいたとき、少しでも同じ時間を共有したくなる。
寝る時間ですら惜しくなる。


自分が心を許した相手だからこそ、目の前の事象を見たそのままだけではなく、自分らしさや自分自身の本質まで描いて欲しいという気持ち。
観察という視点から、愛しい人を見る視線に変わっていく様子は観ていてぐっと心を掴まれた。

自然とお互いを求め合うようになった2人だけど、こんな風にお互いを愛しあうことって本当に難しかったんだろうなぁ。
18世紀末なら尚更、2人のこの感情は否定されるものだったのだろう。
自分の愛した人とずっと一緒にいたい。ただそれだけのことなのにそれが難しい。

なぜなら愛し合った2人は女性同士だったから。



本作を観て感じたことは美しすぎるということ。
主演の2人は勿論、景色もお衣装も。そして数々の肖像画も。
音楽も作品にぴったりで、観終わったあとの余韻が心地良い。

そして私の心は完全にこの作品に奪われた。
胸がぐっと苦しくなるほど終盤は泣いてしまった。
劇場鑑賞がとても楽しみだし、ソフト化されたら間違いなく購入する作品。


当時のAUSってあんなことをしてたのかな?
浜辺を走ったり、薬草を飲んだり。
えええ!?こんなことするの!?って驚いた。

そしてメイドのソフィー役のルアナ・バイラミさんも本当に美しかった。
絵かと思うくらい。
顔に影のかかった描写がどれも美しくて、はっと息を呑んだ。


Fan's Voiceさんのオンライン試写会にて。
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