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家族を想うときのdancingufoのネタバレレビュー・内容・結末

家族を想うとき(2019年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

【ケンローチ語録】

この映画を通じて伝えたかった事は、労働者が本来持つべき力を失っている現実とそれが家族に与える壊滅的な影響だ。

仕事をするのは家族を守るためのはず。仕事によって家族が崩壊するのは根本的に間違っている。

ネットで買った商品をガソリンを浪費して配達してもらう生活は永遠には続けられない。労働者も壊れてしまう。

そもそもこうなったのは大企業の間の激しい競争が原因だ。
少しでも儲けようとすれば安い労働力が必要だ。労働者の立場がますます弱くなってしまった。

弱者が置かれた現実をどう伝えるか。全ての人たちが尊厳のある人生を送るために私は社会の構造的な問題を明らかにして解決に導くべきだと考えている。
なぜなら、社会的に弱い立場にいる人たちは、不当に扱われていることを世の中に告発する術を持っていないからだ。

社会を支配してる者たちにとって自分たちの利益こそが「国益」なのだ。実際には人々の労働力を盗んで豊かになっているのにね。

メディアにとって国益とは富裕層や権力者の利益のことを言う。だからこそ何か問題があると「それは移民のせいだ」とか「労働者が怠け者だからだ」とか様々な理由を示す。

映画を通してごく普通の人が持つ力を示すことに努めてきた。
一方で弱い立場の人を単なる被害者として描く事はしない。
なぜなら、それこそまさに特権階級が望むことだからだ。彼らは貧しい人の物語が大好きだ。チャリティーに寄付して涙を流したがっている。しかし、最も嫌うのは弱者が力を持つことだ。

私たちには人々に力を与える物語を伝える使命がある。
もし自分たちに自分たちに力があると信じられば社会を変えられるかもしれない。


【映画の感想】

深いため息が出た。一緒に見た愚妻の態度が少し優しくなった。

娘と一緒に配達したり家族総出で妻をヘルパー先に送り届けたりと、ほのぼのとしたシーンもいくつか入っていたけれど、ドラマが進むにつれ不快指数は高まる一方。なんなんだこの宅配業者!

主人公が暴漢に襲われ、病院から会社へ電話報告するシーン。電話を奪って、妻が怒りをぶちまけた件は「そうだ!よく言った!」とカタルシスを感じた。

しかしこれで終わるワケない。
主人公は働かないと一家は生活できない。
なのでレントゲン結果の確認そこそこに、早朝起きて、不在連絡票に家族への詫びを書いて会社へ向かう主人公。止める家族。
胸が押しつぶされる感じ。

日本ならコンビニで見たような状況が起きてるよね。
しかも日本では政府主導で個人事業主化が進んでいる。
どんどん社会は劣化してくんだろうなぁ。
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