このレビューはネタバレを含みます
「家族を想うとき」を鑑賞。
ケン・ローチ監督の最新作。
マイホームを購入するためにフランチャイズの宅配ドライバーに転職した夫とその家族を描いた作品。
独立した自営業者とは名ばかりで過酷なノルマを強いられ、疲弊していく主人公。
家族のために新たな職に就いたにも関わらず、激務で共に過ごす時間すらままならず。
やがて長男が問題行動を繰り返すなど、家族間に亀裂が生じ始めていく。
新自由主義的な雇用慣行が先鋭化し、中産階級と呼ばれる層が先進国でも次々と没落。
かつてはあった当たり前の生活すら維持できず働けど働けど暮らし向きは変わらない。
身も心もボロボロになっていく主人公の姿は誰しもに起こり得ることだと思うので観ていて心底辛くなるのだが、ユーモラスなシーンも多々ありバランスのとれた作品でもあった。