マーチ

7月の物語のマーチのレビュー・感想・評価

7月の物語(2017年製作の映画)
4.7
【感想】

まず、この映画をジャストタイミングで公開してくれたユーロスペースに感謝。鑑賞後、外に出て快晴だったことと、夏の(鬱陶しいほどの)暑さが猛威をふるっていたことが途轍もなく嬉しかった。映画と現実が一続きになった、夢のような瞬間。

二部構成のこの作品、いずれも共通するのは出てくる男が揃いも揃って(服を着て)歩く性器なこと。笑 夏のうだるような暑さは、ただでさえバカな男という生き物をより一層むき出しのバカにする。特に『ハンネと革命記念日』のファーストシーンの驚異的なバカらしさには笑ったし(最高!!)、『日曜日の友だち』のバラエティ番組かと見紛う水への突き落としは、「うわっ…絶対落ちるやん…落ちる…落ちる!落ちる!落ちる!落ちるぅぅぅぅぅぅ…落ちたぁー!」ってな感じで、予想した通りのお笑い的“お決まり”の展開をガチガチに楽しませていただいた。

絶妙なユーモアと心地良さで最高に幸せな時間を味わえる第一部と、なんてことないバカらしくも面白い男女のぶつかり合いを嫌々しい自分のブラックな部分を全開にして(ナナメの視点で)楽しんでいたら、最後にのしかかる社会的な現実とそのリアルさにハッとさせられ、作品の重量を一気に感じざるを得なくなる意義深い第二部。

監督の演出、観たタイミング、観た日の天気、観た場所、全てがナイスに思えるほど、鑑賞後は多幸感に包まれた。夏の照りつけるような暑さと共に、是非とも(休日の)昼間にお楽しみください。
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