さとつん

生きるのさとつんのネタバレレビュー・内容・結末

生きる(1952年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

私にとっての初黒澤作品。
録画してあったのをよーーーやく見ました。

全てを見終えてから、タイトルが「生きる」であることに改めて感じ入る。

冒頭のたらい回しシーンの描き方のユーモアさで、もう惹かれた。
そして映画後半は主人公不在、彼の葬儀の場で彼について同僚たちが丁々発止、紐解いてゆく作りも面白かった。

終わりは必ず来ると知っているのに、その終わりを目の前に突きつけられてはじめて、主人公はようやく「生きる」ことをはじめる。
その主人公、志村喬の演技がまた…
吹いたら消えそうなろうそくのようなのに、鬼気迫る迫力もあって、すごかったな。

主人公の最後の生き方を知り、役場の人たちが葬儀の場で
「俺だってやってやる!」と意気込むけど、
後日彼らの仕事ぶりはなんら変わらない…という様子は、現実的でとてもよかった。軽い失望と深い共感。
それでも一部の人の心に、生き方を見つめ直す灯火は灯っている、という示唆もあり。

最後、ジャングルジム越しで覗き見る雪の中のブランコのシーン、
悲しいとか切ないとかそういった形容詞では表せない、美しく忘れられないこの一場面を
私は今後も度々思い返すんじゃないかなぁ
さとつん

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