KITAYUMASSACRE

ザ・ハントのKITAYUMASSACREのレビュー・感想・評価

ザ・ハント(2020年製作の映画)
4.5
この映画を見る時は一旦右翼が正しいとか、リベラルが正しいとかは脇に置いておかないとマトモに鑑賞することは出来ない。この映画の脚本家が過去に脚本を書いた「プロメテウス」がそうだったように、本作も全方位的に人間をバカにするブラックコメディ映画である。
この映画に登場する左翼・リベラルはただ自分たちが「正義」を振りかざし人にマウントを取りたいがために平等を掲げ、常にエコロジーや政治のトレンドを追いかけることに必死なアホである。本質的に何が良くて何が悪いとかは全く考えないので「正義」のために人殺しゲームが出来てしまうのだ。
もちろんこれは左翼だけに限らない。右翼も白人至上主義も同じである。この世のありとあらゆる思想が「正義」のおべべを身につけている。
そしてこの映画ではそんな人間たちが左翼も右翼も次々と死んでゆく。不謹慎なギャグとともに死んでいく。のっけから人死にのテンポが超良い。
そしてなんと言っても主人公が超カッコいい。どんどんカッコよく見えてくる。イーストウッドとスネークプリスキンを掛け合わせてサイコ風味を足したみたいな感じだ。ずっとタバコが吸いたいのにあんまり吸えないのも良い。もうこの世のカッコいいものを全部詰め合わせたみたいなキャラクターである。
この映画は「本質的なことは何も言わないくせに右でも左でも正義ヅラして一家言かましたろうとか思ってる奴多すぎてウゼぇなぁ....
コイツら全員超カッコいいヒーローにぶち殺されたらいいのになぁ....」
という製作者の妄想から話が広がって行ったのではなかろうか。
もちろんこの映画を見て「やっぱり左翼は正しくない」とか「左翼は絶対にこんなことしないし嫌がらせだ!」とか思うのはお門違いである(そういうことを言うやつこそ本質を見ていないのだ)。人間嫌いで性格の悪い本作の唯一本当の意味での正しいメッセージは、表面だけ見て全体を見た気になるな、ということである。
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