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シン・ウルトラマンのSadAhCowのレビュー・感想・評価

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)
4.0
2022 年 30 本目

凡百の感動ポルノ邦画に比べれば圧倒的に良いのは間違いないけど、さすがに庵野・樋口作品をそんなレベルと比較してもしょうがない。その点を差し引くと正直、期待はずれではあった。本作が『シン・ゴジラ』を世界観的に引き継いでいることはオープニングからも分かるんだけど、『シン・ゴジラ』の洗練と比べると演出というか演技がやたら説明的で、悪い意味でアニメっぽいんですよ。ガボラの光線を避けずに浴び続けるウルトラマンを見て「私たちを守ろうとしている!?」っておい、そんなの見れば誰にも分かるよ。避けたら核に直撃ぞ!? ゼットンとの最初の接触もずーっと引きの画で撮っているので、何か遠くでこちょこちょやっているのは分かるんだけど、今ひとつスケールが小さい感じなんだよね……。それにあんな巨大な十字架みたいなのが空にぼお〜っと浮いてたら絶対大騒ぎだし、世界各国総出で情報集めるよ。「みんなはこの後くる破滅も知らず日常を送っている」ってなるわけねえだろ。そして最後はどうやってゼットンに勝ったのか今いち分からん。全体的にチームプレー感がなく、最初から最後までウルトラマン頼み(神頼み)。人間の知恵と勇気を結集しての神殺し=シン・ゴジラと比べりゃそりゃテンション上がらんわ。「比べるな!」って言われりゃまあ「すんません」って感じなんだけど、あんだけ OP からかぶせてきたらそりゃ比べますがな。

とはいえ、現在の技術でリメイクされたウルトラマンと怪獣(禍威獣)はスタイリッシュだし、ゼットンを生物ではなく「兵器」とした設定も好きだった。個人的には『新聞記者』で爬虫類のように冷たい内調のボスを演じた田中哲司演じる宗像(禍特対室長)がいち押し。
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