たるとたたん

1917 命をかけた伝令のたるとたたんのレビュー・感想・評価

1917 命をかけた伝令(2019年製作の映画)
4.4
見終わっても、私はこんなにも鮮明に2人の戦いを覚えている。

気が急くあまり、無計画なまま出立。
無謀すぎて不安!ただでさえ心がざわつく中、有刺鉄線からの死体にズボッは、ギャッ!!ってなった。

明らかに罠、誘い込まれてる!
ってわかっていても、見ている私は2人についていくしかないし、「第3の目」として、2人が見ていないだろう所に注意を払ってみたりしたけど、もちろん無意味。

廃屋に着くまでも、着いてからもチラつく向こう側に立ち上る煙。
きれいに咲き誇る倒された桜。
まさかのこっち側への飛行機不時着。
2人は優しすぎる。
チャラついた指輪してるなとは思ってたんだよ…涙

使命を果たすため、再び歩き出す時も、
(英語を話すからって、本当に仲間…?
連れて行かれた瞬間やられたらどうしよう…)
と疑念が拭えない。


膝にかけてたコートを抱きしめて、ぎゅっと握りしめて、手に汗握って息を殺して見守る…
気が抜けない、しんどい…


崩れた橋の上を行く。格好の的。
激流の川を行く。そうか、自然さえも敵か。
赤ちゃんって、牛乳飲んでよかったっけ…何も飲まないよりはいいのかな…
辿り着いた先に浮かぶ死体。ここも安全じゃない。

前線。塹壕。どういうものか、初めて知った。
ただの溝。ただの駒。
最後の1人になるまで終わらない。

すごい肩書きがあっても、勲章メダルを持っていても、組織の一部。期待は危険。

正義感の塊だとか、使命に燃えているとか、殺戮が好きだとか、パニックになっているとか、そういう状態ではない極々普通の人間の在りようを見た。

想像以上に心えぐられた…しんどい…
たるとたたん

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