かわだ

地獄の黙示録 ファイナル・カットのかわだのレビュー・感想・評価

4.6
何かとんでもないものを見させられたという感じ。説明が難しい。
前半は戦争映画、後半はカルトホラーな趣き。
ベトナム戦争の悲惨さを描いた作品は多いけど、この作品は戦争の狂気と暴力に対する批判だけでなく、ベトナム戦争以降アメリカに蔓延したドラッグやカルト宗教についても言及していた。

マジで全編地獄絵図で、残酷なのに映像が凄すぎて皮肉にも美しさを感じてしまう。
特に後半は悲惨な戦場にいることへの疲労と薬物依存から主人公一行の意識も朦朧としてきて、薬物中毒者の視点で見ているかのような、恐ろしさの中にどこか儚く幻想的にも感じられるシーンが続く。
ジャングルの奥地へと川を遡上していく旅路の中で、次第に狂気と地獄へ進んでいくロードムービー的な側面も面白いと思った。

カーツ大佐は単なる悪役ではなく、戦争の狂気によって蝕まれていった、この時代や社会のメタファーなのだと思う。
というかカーツ大佐を演じるマーロンブランド、画面に出てくる時間がほとんどないのに存在感が強烈すぎる。ゴッドファーザーのドン役の時とは違ったカリスマ性を感じて、演技力すごい、、。
かわだ

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