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地獄の黙示録 ファイナル・カットのDmadのレビュー・感想・評価

4.1
バカと狂人の狂想曲こと『地獄の黙示録』がこの度再び上映されるにあたり、個人的に思う見どころは大きく捉えて2つあると考える。

まず「IMAXの音響」
この映画はハッキリ言って映像的音響的見どころは冒頭のロバート・デュヴァル演じるサーフィン大好きキルゴア中佐絡みの場面でピークが来てあとは尻窄みであるため、ワルキューレの騎行に乗せて大量のヘリコプターが空撃をするシーンやナパーム弾のシーンが現代のIMAXの技術を介すことによってどれほどまでに迫力が増すことができているのかというところが注目すべき点なのは当然である。
もちろんそれは大成功!
コッポラ監督自身の意図するところに技術が追いついたのだ。
もう金輪際撮られることがないであろう、贅の限りを尽くした環境破壊の極みのような爆撃シーンは少し高いIMAX料金を払ってでも絶対に観ておいて損はない。

もう1つは「ファイナル・カット」
観客の好みはとりあえず置いといて、撮影裏話の方が盛り上がってしまうほど無茶苦茶な環境で撮られたこの映画を40年経った今、コッポラがついに導き出した最適解はどのような編集なのかというのを観られるのは大変幸福なのである。
後半が盛り上がりに欠けるのは完全にブヨブヨに太ってヨタヨタ歩く動けないキングピンのようなカーツ大佐を演じるマーロン・ブランドのせいなのだが、改めてこのファイナルカット版を観てみると、やっぱりそれは変わらない事実ではあるものの、観た後に哲学的な恐怖、そして虚しさというものがより一層感じられるものとなっていた。(個人的にはカーツ帝国の爆破の方がが好きなのだが)

好きといえば…
主人公のウィラード大尉と、殺される対象であるカーツ大佐が鏡像である
ということはこの映画のテーマではあるのだが、それをそのままバカ正直に表現されたポスター。
そしてそれがデザインされた特典で貰えるクリアファイルの裏には娘のソフィアが撮ったコッポラの写真。
普通映画のグッズに劇中の写真よりも監督の写真デカデカとデザインされる??(笑)
そんなところも本当に可愛くて大好き。愛すべき監督と映画である。
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