もちお

上海要塞のもちおのネタバレレビュー・内容・結末

上海要塞(2019年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

酷評にも納得の出来。でも嫌いじゃない。
よくある侵略資源戦争SFだがバトルシップ好きでも厳しいか。

日本で言えば山田涼介主演のアイドル映画的な立ち位置なのかな。

ぼくのかんがえたさいきょうの!的なSFお約束大全の類型だが全てにおいて説明不足で全体的に粗が目立つ。最後の最後まで満遍なく「え?」「なんで?」って言葉が数分単位で自然に出てくる。自分の引き出しと照合して「多分こういうことかな」と飲み込むハードルがやや高め。「これをやりたかったんだな」というお約束自体はいいのだがお膳立てすらなく唐突に過ぎる。逆張りして若き少年兵たちが切磋琢磨する青春物語や上官とのラブロマンスの成分を増やした方が良かったと思う。

何よりも問題なのは致命的にメカがダサい。カッコいいメカの派手なアクションがあれば「こまかいことはよかろうなのだ」と流せるものだがそこもキツい。古典が発明してきた強度が高いお約束の数々に「こういうのすきなんだろうなー」と同好の士に対する印象の良さはある。ぜんぶどっかでみたやつ。

日本市場において「上海キャノン」という名称はもはやギャグ以外の何者でもなく、「重力放射線射出装置」みたいな雰囲気とかでカッコよく意訳するべきだった。売る気ないだろ。品質云々よりもむしろこういうやる気の無さにこそ萎える。

仲良し4人の若きドローンパイロットたちは有人飛行は訓練のみ。現場経験は無く学生気分が抜けないまま敵の急襲、不意に仲間を失い現実を突きつけられる。いいですね。雑だけど。

最初の自爆もいいんだけどなぜサーバー周りだけでなく施設もろとも破壊なのか。それならそうと理屈を説明しようよ。紅一点も何で戻ってきた?脚本の都合感半端ない。人いっぱいいたけどいつのまにか全員死んでたのかな。あれだけ数いて一部だけでも主人公追わないのはなんでかな。まあいい。散り際の美学はいいのだが一緒に逃げられない理由を説明しようよ。メインキャラでも全てが雑で勿体無い。

みんなだいすき一撃必殺一発逆転のロマン砲。巨大母艦をワンパン。つよい。初撃なはずなのになぜか撃墜の確信があるのは謎。しかし充填まで耐えてくれ!はやらずにあっさり発射。発射成功まで守りきれ!も大事なお約束でしょうよ。ハリウッド擦られだからか。絶対やらなくてはいけないお約束「やったか?→やってない」は二発目で遵守。照準装置損壊はいいが担当兵士も出して場所も映して画面でも説明してたらここでもお涙チャンスがあったのに機会損失。

んですこぶるダサいAV28がどうすごいのかもわからんし、なぜ有人機である必要性があるのかもわからん。SFってそのへんの屁理屈を楽しむものでは?そこの邪念は一旦横に置いて「大量のドローン運用にもエネルギーを使うから節約してキャノン撃つ為には有人機が有用なので訓練してたんだね!」と飲み込もうとしたらドローンたくさんついてきてて笑った。なんでや。

そんで訓練時の「なんで俺ばかり囮なのぉ」が自ら囮を買って出て最終決戦に主人公を送り出すやつ。いいですねーアツいですねー。なんでみんなあいつについていくのかは謎ですが。そんで自分がマーカーとなって「俺を狙え!」いいですねーアツいですねー。でもなんで生きてるの。でも最後のアレが大事だからしゃーない。見るはずの無かった返信。届いていた想い。かーらーのー「よく眠って、おやすみ」そして綺麗にキマったラストカット。多分この最後のメールと花が一番やりたかったんだと思う。箱小さすぎ!なんも入らんやん!とか言ってはいけない。

設定詰めてメカデザ変えて4人の青春とラブロマンスの日常描写増やしてきちんと状況説明をして漫画かアニメにでもすれば普通に面白い話になると思う。
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