HAYATO

ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男のHAYATOのレビュー・感想・評価

4.2
2024年64本目
環境汚染問題をめぐって、1人の弁護士が十数年にもわたり巨大企業との闘いを繰り広げた実話を、環境保護の活動家という一面も持つマーク・ラファロが自らプロデュースし、映画化。
マリオ・コレアと『21ブリッジ』のマシュー・マイケル・カーナハンが脚本を執筆し、『キャロル』のトッド・ヘインズが監督を担当。
弁護士のロブは農場主からの依頼を受け、大手化学メーカー・デュポン社の工場廃棄物によって多くの牛が病死した件を調べ始める。すると、デュポン社は有害物質の危険性を40年間も隠蔽し、その物質を垂れ流していたことが判明する。ロブは7万人の住民を原告団とする一大集団訴訟に踏み切るが…。
本作は、2016年のニューヨーク・タイムズ・マガジンに掲載されたナサニエル・リッチによる記事「デュポンにとって最悪の悪夢になった弁護士」に基づいたもの。
プロデューサーを兼ねた『哀れなるものたち』のマーク・ラファロが主演を務め、ロブの妻役を『レ・ミゼラブル』のアン・ハサウェイが演じる他、『ショーシャンクの空に』のティム・ロビンス、『ジョーカー』のビル・キャンプ、『タイタニック』のヴィル・ガーバー、『イコライザー』のビル・プルマンらが共演。
マーク・ラファロ本人が、「これは実話に基づいたホラー映画だよ」と述べたように、デュポン社によるひどく腹立たしい不正行為の実態が生々しく描かれている。
巨大企業を相手どり、勇敢に立ち向かう主人公を描いた本作は、『エリン・ブロコビッチ 』の物語に通じる部分があり、あまりに長い闘いに身も心もすり減らしながらも、怒りを忍ばせて耐え続ける姿に尊敬の念を抱いた。
人間に有害な危険物質が当たり前のように蔓延していて、それを何も知らない人々が日常生活の中で普通に摂取してしまっている状況が甚だ恐ろしく、ロブが一心不乱にテフロン加工のフライパンを探すシーンはただただ絶望的だった。
『ウルフ・オブ・ウォールストリート』や『幸せのちから』などでも見られたけど、当事者ご本人がカメオ出演する演出はリスペクトが感じられて好き。
ロブ・ビロットの闘いは現在進行形で続いているそうなので、デュポン社は「いつも怒っている」マーク・ラファロをこれ以上怒らせたらタダじゃ済まないことを肝に銘じてもらいたい。
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