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れいわ一揆のakiakaneのレビュー・感想・評価

れいわ一揆(2019年製作の映画)
2.9
2020.2.15舞台挨拶付きオールナイト上映にて。
れいわ新選組という政党には個性と当事者性の強い候補者の数々、市民の作った初の国政政党という成り立ち、重度の身体障害がある国会議員を二人誕生させ国会の前提を変えた実績に興味を持っている。
それだけに、れいわ新選組の多彩な候補者をほとんど描かず安冨歩一人にフォーカスした本作に“れいわ”を冠したタイトルを付けたことに疑問を抱いた。

また、安冨の「子どもは大人のように○○しない」といった子どもの純粋性を美化した発言には、本当に現実の子どもを見ているのかと疑問に思った。子どもだって“いじめ”という名で矮小化された人の心を壊し命を奪うほどの暴力を振るうし、周りや大人の顔色や振る舞いに合わせて幾らでも意見を翻しごまかし嘘をつく。安冨の語る“子ども”は想像上の存在ではないのか。
具体策を語らず抽象的な“子ども”を抽象的に「守ろう」と繰り返すことは抽象的な“安心安全”を「安心安全な○○」と繰り返すことと何が違うのか。結局「子どもを守る」とは何なのか。どうやって守るのか。4時間の作品に入れられないわけがない具体的な政策を自分の声で語るべきだった。
加えて、大阪の有権者は田園風景や母校といった安冨の「かつての大阪」を望んでいるのだろうか。仮に有権者が現状を憂いているにしても有権者が何を望み、そこに自分なら何をすると言わないのでは「昔は良かった」とノスタルジーに浸るおじさんと何が違うのだろうか。
更にパレードやダンスといった内輪だけ盛り上がる“パフォーマンス”で他党支持者や無所属の有権者が“れいわ”を選択肢として検討するとも 思えない。誰に発信したのか、主張は何か、4時間のドキュメンタリーとしてもっと入れられる情報や魅力(周りの人物との関わり、個人の思いを語る場面、政策、選挙戦の工夫)があったはず。
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