HAYATO

ラ・ジュテのHAYATOのレビュー・感想・評価

ラ・ジュテ(1962年製作の映画)
3.7
2024年52本目
クリス・マイケル監督による「時間」と「記憶」を題材にした上映時間29分の短編映画
大塚明夫さんによる日本語ナレーション版が、シネフィルWOWOW プラスのYouTube公式チャンネルで2月9日から2週間限定で公開中。
舞台は、近未来の廃墟と化したパリ。科学者たちが過去と未来に救済を求め、少年時代の記憶に取り憑かれた捕虜を使ってタイムトラベルを試みる。
大島渚監督の『愛のコリーダ』や、ヴィム・ヴェンダース監督の『パリ、テキサス』などを手がけ、国際的に幅広く活躍したフランスの映画プロデューサー・アナトール・ドーマンが製作。
その後のタイムトラベル作品に多大な影響を与え、テリー・ギリアム監督の『12モンキーズ』は、本作が原案とされる。
「フォトロマン」と呼ばれるモノクロ写真を連続して映す手法で描かれている。
スタイリッシュなモノクロの映像美が光り、視覚的な情報が不足しているからこそ、小説を読んでいる時のように想像力が掻き立てられる。
作中では唯一の動画カットがあり、主人公が眠りから覚める彼女の姿を見つめる様子を幸福な時間として強調し、次のカットで主人公が直面する現実に絶望させるという「夢」と「現実」の対比的な演出がお見事だった。
少年時代の記憶に執着した男が迎える結末は辛くて悲しいものだったけれど、始まりと終わりが綺麗に繋がるカタルシスがたまらない。
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