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永遠の散歩のqqfowlのレビュー・感想・評価

永遠の散歩(2019年製作の映画)
4.0
今から約50年後のラオスの農村。主人公は還暦くらいの老紳士。一人暮らしで、人知れず、死期の迫った村の老婦人を安楽死させている。彼には少年期から一緒に過ごしている若い女性の幽霊がいて、その力で過去に戻れることが分かったので、50年前に病気で苦しみ抜いて死んだ母親を安楽死させようとするが…

ホラー+サスペンス+SF(タイムリープ) でも絵的にはとても地味

セリフ少なめでよく分からないところもあったけど、ラオスの人の死生観が伝わってきて、なかなか面白かった!

なぜかこの映画の「現代」は50年後の未来になってて、スマホの機能が人体に直接実装されている。これがどうしてなのかなと思ったんだけど、50年前の場面にタブレットが出てきてるからなのかなぁ… 

~ネタバレ~

主人公の還暦くらいのおじ(い)さんが過去に戻って何をしたかったかというと、①母親を安楽死させる ②母親の火葬を食い止める 

②がびっくり。その発想はなかった。ラオスでも、死者は成仏させるために火葬にするのが一般的らしいんだけど、それは寂しすぎる、火葬したらもう一緒にいられないということらしいのね。土葬ならずっと一緒にいられるらしい。主人公が少年期に森で偶然看取った女性も火葬されなかったから、ずっと幽霊として一緒に過ごしてきた。

その幽霊女性の親が彼女を探しにきて、少年は知らないととぼけた後に、女性の死体から指を切り取る。指に付いてた指輪じゃなくて指自体が目的。死体の一部を所有するのは何か絆的な意味があるみたい。

少年は還暦のおじ(い)さんになっても、安楽死させた女性の指を切り取って集めてた。こわっ。そもそも安楽死ってあらすじに書いてあるけど、認知症の女性を監禁して眠らせた後に手首切って殺してるんだから殺人では? 

まとめると、最初の世界線の主人公は、少年期に母親を病気で亡くし、大人になって、誰からも顧みられない村の熟女を監禁、殺人、土葬して、指を集めてた。

ところが、主人公が過去を改変したことで別の世界線が生まれた。母親を安楽死させることには成功したが、土葬はかなわなかった。こちらの世界線の主人公は、若い女性を監禁して手首を切って犯す猟奇連続殺人犯になってしまった(なんで捕まらないんだろう😓)

過去改変の結果にショックを受けた最初の世界線の主人公(熟女連続殺人犯)が、改変後の世界線の主人公(少年、後の女性連続猟奇殺人犯)を殺しておしまい。

ヘンな話っちゃヘンな話なんだけど、面白かった。
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