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ジェントルメンのohassyのレビュー・感想・評価

ジェントルメン(2019年製作の映画)
3.5
「こぢんまりとした映画だよ」という顔をして豪華な俳優をキャスティングしまくるこの手の映画は嫌いじゃないけれど、時々つまんないことがあるのでいつもあまりハードルを上げずに観る。

ガイ・リッチーといえば「スナッチ」が大好きだけれど、あそこまでオフビートな印象はなくて、全編を通して程よい緊張感に包まれながら物語は進む。
「ロックストック〜」から時を経て大人の余裕を手に入れた連中が、身体ではなく頭を使って丁丁発止を繰り広げる、スマートな仕上がりを感じさせる作品だった。

見どころはやはり俳優陣の顔と佇まい。
マシュー・マコノヒーの説得力、チャーリー・ハナムのしたたかさ、すっかり小物悪役が板についたヒュー・グラント、今までで史上最高のキャラクター(個人的に)を作り上げたコリン・ファレル。
みんなすばらしい。
コリン・ファレル、いい役だったな。

ヒュー・グラント演じる胡散臭い探偵・フレッチャーの語りを軸に展開する物語は、動きが少なく展開に多少の物足りなさも感じてしまったけれど、キャラクターの面白さとそれらを演じる俳優たちの見応えで十分楽しめる。
めちゃくちゃかっこいいオープニングと、おじさんたちの小粋な会話を存分に浴びよう。

「ロックストック〜」との直接のつながりはないけれど、これは「トレインスポッティング」に対する「トレインスポッティング2」と同じ位置づけと考えて差し支えないだろう。
しかしメッセージは明らかに違う。
トレスポは老いの残酷さや若き日への哀愁を描いているのに対して、本作は大人の強さを存分に示す。
自分もすっかりおじさんになったせいか、最近ちょっとおじさんの虐げられぶりが個人的に気になり始めている。
本作や「Mr.ノーバディ」も上映されることだ、そろそろ逆襲に打って出ても良い頃合いだろう。

もちろん声を荒げたり、ましては直接暴力を奮ったりなんかしない。
スマートに、したたかに、本気になった大人の恐ろしさというものを見せてあげよう。
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