キモサベ

辰巳のキモサベのレビュー・感想・評価

辰巳(2023年製作の映画)
3.4
2024年5月9日劇場鑑賞
なんかねぇ、正直それほどの“期待”はしていなかったんです それが・・・
まだ5月ですけど、ひょっとして、このまま自身の今年の“エグい邦画”ベスト1を突っ走っちゃうのかも? そんな予感がしました
それだけの力作に遭遇したということです

自分のようなボ~ッと同じような毎日を過ごしている人間とは明らかに異なります、この映画の中に出てくる人々は
人種が違う、住む世界が違う・・・です

では感想です
そんな異質な世界観を上手く現したなぁ、と感じたのが
まず、『顔、近っ!』・・・です
対面のシーン、顔と顔が接近する画の多さ・・・普通(・・・自分の生活圏という意味です)ないですよね、特に“男同士”などでは絶対に

それともう一つ、“この世界”の方々しか出てこない(映ってない)ですよね、一切
普通(・・・の映画だったら、という意味です)なら、街並みですとか、人々の景色が出てくるのに、それがまるでない

どでしょ、異質ですよね?

いやぁ~、存じませんでした 小路紘史監督さん・・・観られるなら、過去作も探ってみたいです、是非
役者さん使いが、うまいですよね ドンピシャのキャスティングじゃないでしょうか
主演の辰巳役の遠藤雄弥・・・「ゴジラ-1.0 」(2023年)でも光っていましたよねぇ
相手役の葵を演じた森田想・・・葵なんて源氏物語みたいな名前のくせに
自分なら“絶対”に妹になってほしくないです(皆さんも・・・ですよね?)
彼女、たまたまちょっと前に観た「わたしの見ている世界が全て」(2022年)でも個性的な役どころ見事に演じてました
遠藤雄弥と森田想・・・要チェック これからの作品、気が抜けません

それとついで(失礼)に、竜二役の倉本朋幸・・・完全にいっちゃってる役でした 殺(や)られてくれて、ホッとしたくらいです 
なんか表情が“田中邦衛”みたくて笑えましたけど

それと、最後にもう一つ気づいたので書かせていただきます
このお話って、要は組織内のゴタゴタ、言ってみれば“内輪もめに”過ぎないんですよね
出てくる人たちもせいぜい“兄貴”止まりの格付けでした
劇中でも「金に困って」みたいなセリフを吐いてましたよね
・・・で、組織の上の人たちのこと、一切描かれてませんでした

自分の推察ですが、下手すればこれだけの犠牲なのに、闇から闇に葬られちゃうのかなぁって
下っ端のことなど、上にはなぁ~んも知らされずに
切羽詰まった彼らにも彼らなりの言い分があるのでしょうに・・・終わってみれば、とても切ない話に思えて、泣けてきちゃいました
キモサベ

キモサベ