昼行灯

結婚の昼行灯のレビュー・感想・評価

結婚(1993年製作の映画)
3.9
鈴木清順のやつだけ

3階建てのセット2つとその周囲にある座席を中心的に展開される。セットは普通あくまでもセットとは分からないよう自然と撮るものだが、クレーンによってカメラがティルトアップダウン、引き寄りを繰り返しあからさまにセットの構造に自己言及的である。とりわけ特徴的なのは幕によって場面変換をハイアングルで撮ったシーンだ。鈴木清順の演劇的な映画への志向が随所で認められる映画だった。
モーヴ色の雪と白黒画面、『東京流れ者』を彷彿とさせる鮮やかな色1色で構成された空間などいつも以上にビビッドな画面になっており、松竹の金を使ってやりたい放題やるとこうなるのかと思わせられた。

同時上映していた『ある決闘』も最高に面白かった~突如出てくるモチーフに意味不明な脈絡がキメラのように合体していきつつも、きちんと着地するあたりがさすがだった。映画館ではどっちの作品も笑いが起こってて、鈴木清順は巨匠と宣伝されることも多いけど、基本は娯楽映画のスタンスでやってるっていうのは間違いないと思った。
昼行灯

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