フェルメールの作品を「新たに」描いてナチスドイツだけじゃなく、後の専門家さえ騙し抜いた画家メーヘレンを描いた、事実を元にしたストーリー。
この作品どころか、第二次世界大戦中にあのアドルフ・ヒットラーから大金をせしめた贋作作家が居たなんて全く知りませんでした。しかも贋作と言ってもコピーではなくオリジナル?その出来が余りに良かったために、戦後贋作と証明出来ずに処刑されそうになり、それを裁判で覆したという史実をサスペンス風に描いた当作。
でも何といっても贋作は贋作。
ラストの展開は脚色なのかも知れないけど、きっとこれがベストな結果だったんじゃないかと思えました。
真実は映画より奇ナリ、です。
【ここから若干ネタバレ気味です】
そんなストーリーや史実にも驚かされたけど、メーヘレン役のガイ・ピアースを始めとする配役全てが素晴らしい演技。
特に胸に沁みたのは、判決を覆してバーで祝勝会をしているシーン。
ジョセフ大尉と協力した未亡人ミンナが乾杯して、メデタシメデタシなのかと思いきや店のピアノで悲しげな曲を弾き始めるジョセフ。
それを見つめるミンナの目にも哀しげな色が浮かんで、黙って店を出て立ち去って行くところ。
一言も台詞がないのに、そんな心の動きがこちらにも伝わって、モノクロの名作の様に味わい深いシーンでした。