風来坊

リベンジャー・スクワッド 宿命の荒野の風来坊のレビュー・感想・評価

3.5
19世紀半ばの英国の支配に苦しむアイルランド。英軍から脱走したアイルランド人の兵士は、故郷の惨状を目の当たりにして孤独な戦いを決意する。英国は威信を賭けて兵士を止めるべく、元アイルランド警察の死刑囚を捜索チームに入れるが…。アイルランド、ルクセンブルク合作のサスペンスアクション。

どんよりと底抜けに暗い雰囲気が全編に覆う。皆、顔が青白くて暗い目をしている。希望もない絶望的な時代をよく描いていると思います。
追われる方は脱走兵で絶望から狂気に走り、追う方も心に闇を抱えており尚且つ死刑囚という組み合わせが物語に独特な味を出しています。

しかし…逃亡者と追跡者の激しい戦いが繰り広げられるのかと思いきや、地味で暗い追跡劇がメインでした。
戦いや復讐が本題ではなく何の為の戦いなのか、任務なのか自問自答する事を描きたかったのかな?

途中までは静かな怒りが暴走する復讐者と、考えがバラバラな追跡者側の静かな追跡が面白かったのですが、終盤から流れが変わり個人的には残念な方へ…。無難に終わらせたような感じがしてしまった。

とはいえ虚しさと暗い時代が影を落とす殺伐とした雰囲気は秀逸でした。
ヒューゴ・ウィーヴィングさんの感情を抑えた演技も良かった。
思っていたのとは違いましたが、静かな怒りと暗い時代に生きたそれぞれの葛藤が描かれておりなかなか楽しめた作品でした。

まとめの一言
「人が悪いのか時代が悪いのか」
風来坊

風来坊