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すばらしき世界のCinemanのレビュー・感想・評価

すばらしき世界(2021年製作の映画)
3.0
『すばらしき世界』
西川美和監督
2021年 日本
鑑賞日:2024年4月6日  Amazon Prime Video

役所広司の主演映画は何本も観ているがこの作品がもしかしたらベストかも。
その上、
六角精児、北村有起哉、白竜、橋本功、梶芽衣子など素晴らしい役者陣で脇を固められた手堅い作品だ。

【物語の概要】
北海道・旭川刑務所で殺人犯で13年の刑期を終えた男が出所した。
元ヤクザの三上正夫(役所広司)。
人生のほとんどを刑務所で過ごした中年男だ。
外見が強面でカッとして頭に血がのぼりやすい性格だが、根は真面目で困っている人を放ってはおけない優しい男でもある。
今度こそはカタギとしてまっとうに生きることを心に決めた三上は東京へ向かい身元請負人の弁護士夫婦に温かく迎え入れられる。
新生活をスタートさせたものの仕事はなかなか見つからず、生活保護の申請も渋られます。
体の不調もあります。

身元不明で若い頃から不良の道へ入った三上は母親を知らない。
出所後すぐに人探しの番組へ身分帳(これまでの入所態度や経歴、行動、家族関係など詳細に記載している書類。所内で問題を起こすたびに身分帳に記載される)を送って母親探しの企画案を送ります。

身分帳に目を通したプロデューサーの吉澤(長澤まさみ)は三上に興味を持ち元制作会社のディレクター津乃田(仲野太賀)に声をかける。壮絶な過去に怖気づきながらも興味を持った津乃田は三上への取材を開始したが・・・

は、その壮絶な過去に怖気づきながらも、吉澤(長澤まさみ)といっしょに下町のアパートで新生活をスタートさせた三上への取材を開始したが・・・

【Trivia & Topics】
✥原作のこと。
原作は13年の刑期を終えて出所した元殺人犯の男の苦労と生きかたを描いた作隆三の長編小説「身分帳」(1990)。
2015年の佐木隆三の訃報記事で紹介されていたこの小説に興味を持った西川美和が映画化を考える。
その時点で既に長い間絶版となっており小説じたいが手に入りにくかったことやモデルとなった田村も亡くなっていたために、資料集めに難航した。
取材は困難を伴ったが奇跡的にも版元で佐木隆三と仕事をしていた編集者との出会いや田村本人が出演したドキュメンタリーラジオ番組の音源が見つかり本人の肉声を耳にしたことにより西川監督は脚本を大きくふくらませることができた。
過去にはオリジナル脚本を映画化していた西川監督が原作ものを映画化した初めての作品である。

当初から西川監督の頭に浮かんでいた主役候補は監督が高校2年の時に見た佐伯隆三原作のテレビドラマ「実録犯罪史シリーズ 恐怖の24時間連続殺人鬼西口彰の最後」で西口を演じた役所広司だった。

【5 star rating】
☆☆☆
(☆印の意味)
☆☆☆☆☆:超お勧めです。
☆☆☆☆:お勧めです。
☆☆☆:楽しめます。
☆☆:駄目でした。
☆:途中下車しました。
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